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On the Production
by 井口健二
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■犬飼さんちの犬、風吹く良き日、おじいさんと草原の小学校、赤い靴、グッド・ハーブ、ハウスメイド、沈黙の宿命、水曜日のエミリア
他に、1991年のキューバ映画『愛しのトム・ミックス』など
に出演のアナ・オフェリア・ムルギア。また、映画に登場す
る呪術師マリア・サビーナの映像は別のドキュメンタリーか
ら取られた実物だそうだ。
自分の母親が認知症で苦しんでいたころを考えると、本作の
母親のように、本人が自覚したときが一番辛かったように思
う。会話は普通でも時折「思い出せないんだよ」と訴えてく
る。それを聞いているときが切なく辛かったものだ。
本作でも一瞬前のことが思い出せずに苦しむシーンがあった
が、そんな切なさが見事に描かれている作品だ。

『ハウスメイド』“하녀”
韓国映画史上で最高の傑作と言われる1960年キム・ギヨン監
督による『下女』を、2007年10月紹介『ユゴ|大統領有故』
などのイム・サンス監督がリメイクした作品。
主人公は、上流階級の邸宅で働き始めたメイド。その邸宅に
は長く勤める先輩のメイドもいて、その先輩の厳格な指導の
下、主人公は双子を妊娠中の妻と6歳になる一人娘の世話を
中心に仕事をすることになる。
そして生来が子供好きの主人公は一人娘とはすぐに仲良しに
なり、その様子を観て最初は横柄だった妻も彼女を信頼する
ようになって行く。それは理想的な職場のように思えた。
そんなある日、一家の供で別荘に出かけた主人公の部屋に、
深夜一家の主人が忍び込んでくる。それは以前から主人の視
線を感じていた主人公には意外なことではなく、彼女は主人
の身体を受け入れてしまう。
そしてその後は何ともなかったように日々が過ぎて行くが、
やがて先輩のメイドが本人より先に主人公の身体の変化に気
づく。さらに巧みな会話でその相手が一家の主人と確信した
先輩メイドは…
1960年のオリジナルは観る機会を得ていないが、物語はこの
ような環境でなら起こるかも知れないと思える、ある意味で
自然な展開と言えるもの。その中から見事に人間の本性が炙
り出されてくる。
それは、娘を除く大人の登場人物全員が悪人となる作品では
あるが、その一方でその行為は観客にも納得できる。その描
き方の巧みさが傑作と評価される所以なのだろう。
しかも本作の雰囲気は、僕のような人間にとっては正しくホ
ラー映画を感じさせるものになっており、この雰囲気がオリ
ジナルと同じかどうかは判らないが、これは僕には堪らない
作品だった。
主演は、今年2月紹介『素晴らしい一日』などのチョン・ド
ヨン。他に、2004年10月紹介『オーバー・ザ・レインボー』
などのイ・ジョンジェ、人気新人女優のソウ、キム・ギヨン
監督の1971年作『火女』に主演したユン・ジョヨンらが脇を
固めている。

『沈黙の宿命』“True Justice: Deadly Crossing”
スティーヴン・セガール主演の『沈黙』シリーズの最新作。
と言っても1992年『沈黙の戦艦』に始まるこの‘シリーズ’
は、1995年『暴走特急』だけが同じ主人公による正式な続編
で、それ以外は日本だけのプロモーション用に仕立てられた
ものだ。
しかし本作は、カナダで今年1月放送されたテレビシリーズ
の1篇で、本作の劇場公開に続けてDVDリリースされる本
作を含めた6作は正しく『沈黙』シリーズとなっている。
物語は、シアトル警察に創設された特別捜査隊(SIU)の
活躍を描くもので、セガールが演じるのはそのチームのリー
ダー。精鋭たちが集まるそのチームは潜入捜査やおとり捜査
を駆使して危険な犯罪組織の壊滅に邁進している。
そして本作に描かれるのは、郊外のスーパーマーケットで起
きた殺人事件が発端。そこは戦時中に日本人の強制収容所で
あったキャンプ・ハーモニー地区に程近く、主人公のルーツ
にもつながる場所だった。
そんな歴史も絡めた地区でさらに捜査を進めた主人公は、や
がて事件の背後に潜む犯罪組織に肉迫して行くが…
セガールのアクションは合気道が基本だが、警官に扮した本
作では銃撃戦などもふんだんに登場する。しかもそこから合
気道へと繋がるが、それもあまり無理で無く繋げられていた
ように思えた。

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05月22日(日)
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