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On the Production
by 井口健二
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■メアリー&マックス、ツーリスト、愛しきソナ、木漏れ日の家で、キッズ・オールライト、ジャッカス3D、ナナとカオル+ニュース
供が欲しくなり、同じ精子ドナーの精子で人工授精し子供を
産んでいたというもの。こんなシチュエーションが特別な感
じではなく描かれていたことに多少は戸惑ったが、これが現
代のようだ。
そこでその子供たちが父親捜しをするのだが、これがまた精
子バンクに電話を架けると、ドナー側の意向を聞いただけで
教えてくれてしまう。そんな簡単な手続きで父親が判ってし
まうというシステムにも驚いた。
大体が、母親の手元には父親が書いたレポートも保管されて
いるというのだから、こんなシステムがアメリカでは普通に
存在しているということか。これを観ていると、少し前に代
理母問題で馬鹿騒ぎを繰り広げた日本の体制の古臭さがいま
さらながら思い出された。
というシチュエーションだが、映画はさらにその先の状況を
描いており、こうして発見された父親が、レズビアンの夫婦
の家庭に入り込んできたことから騒動が始まる…ジャンルで
言えばファミリーコメディといった感じのものだ。
でもこれが、本当にアメリカの最先端の家庭事情なのかな。
取り敢えずゴールデングローブの受賞は、その辺が外国人記
者団に認められてのこととは思われるが…。とまあそんな展
開の作品だが、内容的には良質のコメディになっていた。
出演は、2人の母親役に主演賞受賞のアネット・ベニングと
昨年7月紹介『シングルマン』などのジュリアン・モーア。
その子供たちに、『アリス・イン・ワンダーランド』のミア
・ヴァシュイコヴスカと、『センター・オブ・ジ・アース』
などのジョッシュ・ハッチャースン。そして彼らの生物学上
の父親役に、本作でオスカー助演賞にノミネートのマーク・
ラファロ。因に、モーアとラファロは2008年8月紹介『ブラ
インドネス』でも共演している。
脚本と監督は、2002年『しあわせの法則』などのリサ・チョ
ロデンコが手掛けた。
『ジャッカス3D』“Jackass 3D”
題名は「お馬鹿」という意味になるアメリカCSで放送され
ている人気番組の劇場版第3弾。僕自身は、番組内容などを
噂では聞いていたが実際には観たことはなく、今回が初体験
だった…が、その強烈さにはかなり驚かされた。
この手の番組では日本の地上波でも時々特番などで放送され
ているものもあるが、確かにその馬鹿さ加減に笑えるものも
ある一方で、特に一般人をターゲットにした度の過ぎた悪戯
には嫌悪感を催すこともある。
元々この種の番組は、1948年に番組制作者アレン・ファント
が始めた“Candid Camera”を基にすると考えられるが、そ
の制作姿勢はファント自身が、「視聴者に嫌悪感を与えない
こと」と言っていた記憶がある。
ところが最近の特番で放送されるものの多くは単に悪ふざけ
で、特に一般人を対象にした苛めとしか取れない映像には、
苛めが社会問題化しているご時世にそれを助長していること
にも気付かない制作者の姿勢も問いたくなるものだ。
その点で言うと本作は、映画の巻頭で宣言されているように
特に過激な悪戯のターゲットは番組の関係者に限定されてお
り、それは過激なスタントのショウとして鑑賞できる作品に
なっている。
しかも身体を張ったとしか言いようのない過激な挑戦の数々
は、その苦痛なども相当であるはずのもので、全ては視聴者
を喜ばせるためと称して、敢えてそれをする勇気にも感心し
てしまった。
とは言うものの、内容の一部は汚物(具体的な名称は伏せま
す)が噴き出したり、飛び散ったりの悪趣味さで、実際僕が
観た試写会が何回目か知らないが、すでに途中退席した人も
いたとのことだった。
その点では「(日本の)視聴者に嫌悪感を与え」たことには
なる。しかも本作では、それが3Dで上映されるのだから…
いやはや何とも言えないものになっていた。でもまあこの辺
は、アメリカとの文化の違いでもありそうだ。
その一方で本作の中には、一般人をターゲットにして、その
社会心理学的な事象を見事に描写したものもあり、それらの
映像には見終って考えさせられるものもあった。その点に関
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02月06日(日)
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