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On the Production
by 井口健二
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■津軽百年食堂、婚前特急、アメイジング・グレイス、ゲンスブール、塔の上のラプンツェル、リセット、グリーン・ホーネット+製作ニュース
なお試写は2Dで行われたが、一般公開は3Dでも実施され
る。アクションシーンや特に数万の天燈が空を舞うシーンな
どには、再度3Dで見直したい気分になった。
『リセット』“Vanishing on 7th Street”
1998年『ワンダーランド駅で』や2004年『マシニスト』など
の作品で知られるブラッド・アンダースン監督の最新作。
物語の舞台はミシガン州デトロイト。ある日、町中が突然停
電となり、その闇の中で人々が消えて行った。それは衣服や
持ち物を抜け殻のように残して、人体だけが消失するという
奇妙な光景だった。
しかし何人かは取り残されており、その中にはテレビの突撃
レポーターだった男性や病院で理学療法士の仕事をしていた
女性。そして7番街にある映画館の映写技師だった男性。さ
らにカフェで母親の帰りを待っていた少年などがいた。
そんな彼らが少年のいたカフェに集まってくる。そこは自家
発電で照明の絶えない場所だった。つまり彼らは経験で人々
が消えた状況に闇が関り、明かりがその危険を減らすと考え
たのだ。ただし人々が消えてからは太陽も上がらず闇が外界
を支配していた。
ところがそのカフェの自家発電機が不調になり始め、一方、
突撃レポーターだった男性は人々が消えた後の衛星回線でシ
カゴにも男性が残っていることを知っており、皆でそこに向
かうことを提案するが…
照明が消えたときにその周囲の闇の中から何物かがじわじわ
と迫ってくる。それは正しく子供の頃、寝床に入って部屋の
電気が消されたときに感じていた言いようのない恐怖感。そ
れがまた味わえる、そんな感じの作品だった。
その恐怖感の描写にはなかなか良い感じのものもあったし、
演出上のテクニック的なものには感心するところもある作品
だった。しかしストーリーが…、これでは一体何が言いたい
のか、よく判らなくなってしまっている。
恐らく監督たちは、「神の摂理」のような感覚で纏めたつも
りなのだろうが、それでは神に頼り過ぎだろう。それはノア
の洪水でも良いが、それにしては主人公たちが残された理由
が明確でないから、結果として何を言いたいのか判らなくな
ってしまう。
特にこの展開と結論では、主人公たちの行動は単に「神」の
目的を遅延させているだけとも取れて、それは物語の展開と
してはおかしなものだ。ここはこじ付けで良いから、何らか
の残された理由付けが欲しかった。
出演は、『スター・ウォーズ:エピソード2/3』のヘイデ
ン・クリステンセン、2009年11月紹介『2012』などのタ
ンディ・ニュートン、1993年『スーパー・マリオ』のルイジ
役が懐かしいジョン・レグイザモ。
俳優の顔触れはそこそこだと思うが、皆さんSFがお好きな
ようだ。因にクリステンセンは役名がルークというもので、
それを聞いたときには「お前はアナキンだろう」と突っ込み
を入れたくなった。
『グリーン・ホーネット』“The Green Hornet”
1960年代に放送されていたアクションTVシリーズが、3D
映画としてリメイクされ、日米ほぼ同時に公開されることに
なった。
オリジナルは1936年に放送開始されたラジオドラマで、その
後にコミックスや連続活劇にも広がった作品。そして日本で
も放送されたTVシリーズではブルース・リーが相棒役で出
演し、見事なカンフーアクションを披露していたことも後に
話題になったものだ。
主人公は若くして大都市の新聞社を経営する男性。しかし彼
は、世論の力だけでは社会を浄化し切れないと考え、拳法の
達人の助手と共にスーパーヒーローとして活動を始める。し
かもそのやり方は悪人を装って悪の真髄を叩くと言うもの。
こうして主人公はグリーン・ホーネットと名告り、自らの新
聞でその悪行を書き立てながら、助手のカトーと共に犯罪現
場に現れては悪人を倒して行く。だがそれは警察と犯罪組織
の両方から追われる綱渡りの活動となるものだった。
というちょっとトリッキーなスーパーヒーローの活躍だが、
その映画化では2008年11月紹介『無ケーカクの的中男』など
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01月16日(日)
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