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On the Production
by 井口健二
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■ブローン・アパート、再生の朝、死に行く妻との旅路、台北の朝僕は恋をする、さくらさくら、幸せの始まりは、唐山大地震+ニュース
る。その業績には、1922年の没後ニューヨークタイムズ紙に
追悼の社説が掲載されるほどだったとのことだ。
しかし現代の日本では、その業績を記憶している人もなかな
か少ないのが現状のようで、本作はその業績を再確認する意
味でも期待される作品のようだ。

『幸せの始まりは』“How Do You Know”
1984年『愛と追憶の日々』で作品賞・監督賞・脚色賞のオス
カー・トリプル受賞を達成したジェームズ・L・ブルックス
が、2006年『ウォーク・ザ・ライン』でオスカー主演女優賞
を受賞したリーズ・ウィザースプーンを主演に迎え、2004年
“Spanglish”以来となる監督を含む3役手掛けた作品。
主人公は、オリンピックで金メダルを獲得したソフトボール
アメリカ代表チームでキャプテンを勤めたリサ。しかし次期
代表チームへの選出は年齢的にも難しくなり、スポーツ一筋
だった人生を変えなければならなくなる。
とは言え、元々生き方に無器用な彼女はそう簡単に自分を変
えらるものではない。そんな時に彼女の携帯に掛かってきた
のは、約束してもいないデートを男性側の都合で断るという
電話だった。それは彼の誠実さも表わしていたが…
その男性ジョージは、父親から引き継いだ会社を経営してい
たが、ちょっとしたトラブルが彼を襲い始めていた。それは
彼が父親の指示のままに結んだ契約が詐欺罪に問われたもの
で、トラブルの広がりを恐れる会社側は彼の切り捨てを画策
している。
一方、リサはメジャーリーグのリリーフ投手とつきあってい
たが、リサの境遇を心配した彼はセレブなマンションに一緒
に住むことを提案。そして引っ越してきたリサだったが、何
かがしっくり来ない感じだった。
そして会社の支援のないままに小さなアパートに引っ越した
ジョージは、何となくリサに電話を架けてみるが…
出演は、リサ役のウィーザースプーンの他、ジョージ役には
2008年11月紹介『無ケーカクの的中男』などのポール・ラッ
ド。またリリーフ投手役に2003年10月紹介『シャンハイ・ナ
イト』などでお馴染みのオーウェン・ウィルスン。そしてジ
ョージの父親役にはジャック・ニコルスンが扮している。
因に、リサのキャラクターはウィザースプーンに当て書きだ
そうだが、コメディエンヌとして活躍する女優の資質が見事
に活かされた作品になっている。そしてそれは、人生の途中
でキャリアを変えなければならなくなった人を応援するよう
な作品だった。

『唐山大地震』“唐山大地震”
1976年7月29日の深夜に、中国河北省唐山市を襲ったマグニ
チュード7.8の大地震。それによって生活の全てを変えられ
た一家の姿を、2008年10月紹介『戦場のレクイエム』などの
フォン・シャオガン監督が追ったドラマ作品。
物語は、その大地震で離散した一家のその後の32年間を追っ
たもの。ほぼ巻頭に描かれる大地震で夫を失い、さらに実子
で双子の姉弟のどちらか1人しか救えないと言われその弟を
選択した主婦=母親の女性と、その時に救って貰えなかった
姉弟の姉。
だがその姉は偶然に命を存え、救援隊=人民解放軍の兵士の
夫妻に養女として迎えられる。そして心に傷を負いながらも
必死に生涯を送って行く。しかしその生涯は、彼女がそのよ
うな境遇だから故の運命にも翻弄されて行くことになる。
一方、息子と2人暮らしとなった母親もまた、自分の身代わ
りとなった夫と、見殺しにしたと思い込む娘の供養のために
生涯を捧げてしまう。それは息子が事業に成功して裕福な暮
らしが許されるようになっても変ることはなかった。そんな
一家の32年間に渡る姿が描かれて行く。
シャオガン監督の作品は、2003年3月に紹介した『ハッピー
・フューネラル』以降、昨年日本公開された作品まではほぼ
全てを鑑賞し紹介してきたが、その作品はいずれもちょっと
特殊なシチュエーションでの人間の姿が巧みに描かれている
と感じていたものだ。
その監督が、2007年3月紹介『女帝』ではワイヤーアクショ
ンを採用し、本作ではVFXや、2000人とも言われるエキス

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12月26日(日)
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