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On the Production
by 井口健二
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■ナンネル、ネスト、ミツバチの羽音と地球の回転、ホームカミング、多田便利軒、サビ男サビ女、毎日かあさん、かぞくはじめました
健吾、岸部一徳、鈴木杏、本上まなみ、三浦誠己らが脇を固
めている。

『サビ男サビ女』
今までにも何度か紹介している映画学校=ニュー・シネマ・
ワークショップ(NCW)のプロデューサーコースで学ぶ生
徒さんたちが実習として製作した作品。
監督コースのMovie-Highの作品は2008年6月に紹介したのが
最後になっていると思うが、映画プロデューサーコースの作
品では昨年2月紹介した『非女子図鑑』が最初の作品で、本
作は第2作になるものだそうだ。
そして前作では「非女子」というテーマで6本の短編作品が
製作されたが、今回も「前振りなしで突然サビから入ってし
まう」という、やはり世間の枠を多少食み出した男女が主人
公の4作品が製作されている。
その作品の1本目は、2007年10月紹介『全然大丈夫』の藤田
容介監督、今年6月紹介『最後の忠臣蔵』の桜庭ななみ主演
による『ハゲマシガールズ』。何かに行き詰まっている人を
見付けると誰でもチアしてくれる桜庭をリーダーとする女性
たちを描くものだ。共演は女性お笑いコンビのたんぽぽ、他
に荒川良々らが出演している。
2本目は、1998年『毒婦マチルダ』などの松梨智子監督、今
年9月紹介『大奥』の中村蒼と2008年NHKドラマ『七瀬ふた
たび』の蓮佛美沙子共演による『Boy? meets girl』。憧れ
の女子に接近するため女装した男子が、カメラマン志望の彼
女のモデルになることに成功するが…。他に、今年2月紹介
『後ろから前から』の草野イニらが出演している。
3本目は、2006年11月紹介『酒井家のしあわせ』などの呉美
保監督、その『酒井家…』にも出ていた友近の主演で『くれ
えむないと!』。帰宅したOLが料金滞納で電気を切られ、
電力会社に電話を掛けるが、今度はそのオペレーターの対応
が悪いと腹を立て始め、そのクレームがどんどんエスカレー
トして行く。共演は吉本所属の福田転球。
4本目はCF作家の関口現監督、小泉今日子の主演で『せび
ろやしき』。前の家では拾ってきた猫を22匹も飼って近所か
らの苦情で引っ越したという女性が、リストラされたが家人
に言えず、公園で行き場を失っている背広姿の男性を見付け
て…。共演は、森下能幸、堀部圭亮、田中哲司ら。
何れも、それなりに常識を逸脱しているかも知れない男女の
行動を描いた作品だが、それぞれの主人公たちの想いは純粋
で、その点で理解できる作品に仕上がっている。また短編と
しての纏まりも良い4作品だった。

『毎日かあさん』
2004年の文化庁メディア芸術祭賞などを受賞している西原理
恵子原作漫画の映画化。因に毎日新聞での連載は日々の生活
を描いたもののようだが、映画では元戦場カメラマンでその
トラウマからアルコール依存症になった夫鴨志田穣との生活
を中心に描いている。
実話に基づく同じ一家の話は、今年10月紹介『酔いがさめた
らうちに帰ろう』でも描かれていたが、その作品は鴨志田原
作によるもの、それが今回は西原の側から描かれている。従
ってその視点の違う2つの作品の描き方なども気になる作品
であった。
物語は10月の作品とほぼ同じものが描かれる。それは深酒に
よって何度も吐血しながらも断酒出来ない夫を見かねてつい
に離婚を決意した妻と、その不退転の決意を見て断酒に成功
する夫の物語。しかし夫の身体はすでに取り返しのつかない
状態になっていた。
そしてその時、離婚した妻の取った行動は…
この物語が、10月紹介の作品では幻覚を伴うアルコール依存
症の恐ろしさなどと共に、いろいろヴァラエティに富んで描
かれていたものだが、本作の妻側からではそれを描くことは
出来ず、そこには原作に基づく育児などの生活のエピソード
が挿入されている。
ただしその日々のエピソードには、西原流のかなり毒のある
言い回しも一杯に振り撒かれている。それでその毒のある描
写が僕にはなかなか容認できないのだが、それが世間では受
賞をするほどに高い評価になっているようだ。
主演は、小泉今日子と永瀬正敏。実生活でも2004年に離婚の

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12月19日(日)
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