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On the Production
by 井口健二
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■RED、男たちの挽歌、トロン:レガシー、ウルトラマンゼロ、学校をつくろう、わが心の歌舞伎座、KG+ニュース
という専修大学の前身校開校までの経緯が描かれるが、それ
は特に艱難辛苦と言うものではなく、いや実際は語学の習得
などもっと大変だったのではないかと想像されるが、映画で
はあえてそれを描かず、それよりも理想に燃える若者たちの
姿が描かれている。
この描き方は、旧来の日本映画では無理矢理『おしん』的な
苦労話を描いたところかも知れないが、今の時代にはこの方
がすっきりとして、特に大学に理想などの指針が明確に出て
いる点では正しい描き方と言えるだろう。
まあそれは、大学の関係者以外には、多少見どころに欠ける
印象になるかも知れないが、それは仕方のないところだし、
僕には理想に燃える明治の先人たちの姿が心地よく見られる
感じがしたものだ。
出演は、相馬役に2月紹介『RAILWAYS』などの三浦
貴大。それに柄本時生、橋本一郎らの2世タレントと、映画
『遠き落日』などに出演の池上リョヲマが学校創設者の4人
を演じている。
他に近衛はな、角替和枝、佐々木すみ江、神山繁、山本圭、
宅麻伸、永島敏行らが共演。さらに樫山文枝がナレーション
を務めている。脚本と監督は、2008年5月紹介『最後の早慶
戦』などの神山征二郎が担当した。
まあ、基本的には専修大学の関係者が観れば良い作品ではあ
るが、明治の先人たちの頑張る姿を観ることで、何か現代日
本人にも得られるところがあるかも知れない、そんな感じの
作品ではあった。

『わが心の歌舞伎座』
今年4月末日に閉場した木挽町歌舞伎座のさよなら公演の舞
台を中心に、現代の歌舞伎役者たちの歌舞伎座に寄せる思い
やその歴史などを綴ったドキュメンタリー。
閉場した歌舞伎座は昭和26年に再建された4代目の建物だそ
うで、そこに至るまでの歴史や、普通では観られないその内
部の施設なども紹介されている。さらに舞台転換の様子やロ
ビーで行われる通し稽古、開場前のセレモニーなど歌舞伎座
の全てが描かれる。
という歌舞伎座の全てが観られるドキュメンタリーになって
いるが、何と言っても作品の中心となるのは、現代の名優た
ちが歌舞伎座のそれぞれの場所に立って、さまざまなその想
いを語るインタヴューだ。
そこには中村芝翫、中村吉右衛門、市川團十郎、中村梅玉、
坂東玉三郎、中村富十郎、中村勘三郎、松本幸四郎、片岡仁
左衛門、坂田藤十郎、尾上菊五郎といった錚々たる顔触れが
登場し、題名通りの歌舞伎座に対する想いを語ってくれる。
それは芸に対する想いであったり、自らが継ぐ名跡への想い
であったり、先人や裏方さんたちへの想い、さらには初舞台
の思い出など、見事にヴァラエティに富んだ想いが語られ、
さまざまな角度から歌舞伎座が語り尽くされている感じのす
るものだ。
またそれと共にそれぞれの役者たちの公演のハイライト場面
なども挿入され、舞踊『藤娘』から『勧進帳』『仮名手本忠
臣蔵』に『野田版鼠小僧』までその数30演目は、正に歌舞伎
が堪能できる仕組みにも作られている。
さらにそこにはインタヴューに登場しない市川猿之助、中村
雀右衛門の公演の場面や、初代松本白鸚、初代尾上辰之助、
二代目尾上松緑、十七代目中村勘三郎ら、戦後の歌舞伎座を
彩った名優たちの姿も再現される。
監督は、ルーカスフィルムやスティーヴン・スピルバーグの
ドキュメンタリーも制作したという十河壯吉。その優れた感
覚が歌舞伎座の全てを描き出している感じの作品だ。しかも
それを小難しく語るのではなく、実に親しみやすい感覚で描
かれた作品だった。
上映時間は2時間47分の大作だが、倍賞千恵子のナレーショ
ンと共に心地よい時間が過ごせた感じがした。

『KG』
琉球少林空手道月心会で黒帯(二段)を持つという武田梨奈
主演による2009年『ハイキック・ガール!』に続くリアルア
クション作品。
主人公は幼い頃から伝説の空手家の血を引く父親に鍛練され
てきた少女。しかし彼女は、その父親を殺され、妹を拉致さ
れた日から空手家の正体を隠して過ごしてきた。ところが、

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12月12日(日)
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