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On the Production
by 井口健二
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■マザーウォーター、ふたたび、レオニー、ビッチ・スラップ、裁判長!ここは懲役4年でどうすか、ドアーズ、義兄弟、リトル・ランボーズ
焉したアメリカのロックバンドThe Doorsの始まりから終り
までを当時の映像記録を基に再構成したドキュメンタリー。
ナレーションをジョニー・デップが担当している。
バンドは、1965年にUCLA映画科の学生だったモリソンが
オルガニストのレイ・マンザレクに自作の詩と歌を聴かせ、
そこにフラメンコギタリストのロビー・クリーガーと、ジャ
ズドラマーのジョン・デンスモアが加わって結成された。
因にバンドの名は、オルダス・ハックスレーが18世紀の詩人
ウィリアム・ブレークの詩の一節から取った書物のタイトル
『知覚の扉』から名付けられたものだそうで、ちょっと文学
的な香りのするバンド名だったようだ。
そしてモリソンが元々映画科の学生だったこともあってか、
映像記録はいろいろ残されていたようで、本作の巻頭には、
モリソンの脚本で製作された作品の一部が使われてもいる。
またマンザレクがUCLAで製作した作品なども登場する。
それ以降は、LAのウィスキーアゴーゴーでのデビューから
コンサートの映像などとなって行くが、そこにはモリソンの
ドラッグ/アルコールによるいろいろなトラブル、それに時
代を反映した過激な言動などが綴られて行く。
僕自身は、The Doorsというバンドにはあまり思い入れはな
いが、この作品を観ていると「ああこんな時代だったんだな
あ」という感慨は湧いてくる。それくらいに時代を象徴する
バンドであったことは確かなようだ。
なおデップのナレーションは、妙なケレンを利かせることも
なく、むしろ淡々とした感じのものだが、そこにたっぷりと
した愛情が感じられるのは、2007年12月紹介『ジプシー・キ
ャラバン』の時と同じ感覚だ。
モリソンが詩人としても優れていたことは確かだし、そこに
ドラッグなどの時代の影響が破滅をもたらしてしまう。今な
らもっといろいろな処置も講じられたのだろうが、そうでは
なかった時代の物語だった。
『義兄弟』“의형제”
2008年4月紹介『シークレット・サンシャイン』などのソン
・ガンホと、2005年2月紹介『オオカミの誘惑』などのカン
・ドンウォン共演で、韓国に潜入した北朝鮮の工作員と、そ
の影を追う国家諜報員がやがて義兄弟と呼び合うまでに至る
人間ドラマを描いた作品。
ソンが演じる国家諜報員のイ・ハンギュは北朝鮮から送り込
まれた暗殺団を追っていた。しかし功名心もあってか独断専
行したハンギュのグループは、暗殺を実行された上にその実
行犯にも逃げられてしまう。
その失敗の責任を問われたハンギュは、国家的な対朝鮮政策
の変化の中で、諜報部の規模縮小もあってリストラされてし
まう。そして6年、ハンギュは昔の経験を活かして民間で家
出人の捜索を請け負うなどの仕事で餬口を凌いでいた。
そんなある日、ハンギュは6年前の犯行現場から立ち去った
男を偶然発見する。その男=カン扮するソン・ジウォンもま
た、犯行が察知されたことで情報を漏らした疑いを受け、工
作員の組織を追われていたのだった。
しかし、ハンギュが家出人を捜しに行った工場でそこを見張
る男たちに襲われたとき、その男たちを手早く打ちのめした
ジウォンの武術を目の当りにしたハンギュは、自分の来歴を
隠したまま彼に一緒に働くことを打診する。
それは彼の腕を見込んだこともあったが、彼を見張ることで
さらに大物の工作員を捕え、諜報員に復帰するという期待も
あったのだ。そしてジウォンにも、ある事情から早急に大金
を稼ぐ必要があった。こうして2人の協力が始まるが…
朝鮮半島の実情というのは日本人の我々にはなかなか解り難
いが、脱北者に対する粛正=暗殺などはさもありそうな出来
事に描かれている。そして政策の変化でその対策機関の規模
が縮小されるというのも如何にもありそうな話だ。
そんな物語が、派手な銃撃戦やカーチェイス、それに格闘技
などのアクションをたっぷりに綴られて行く。
監督は、2009年1月紹介『映画は映画だ』などのチャン・フ
ン、脚本は、2004年11月5日付東京国際映画祭<コンペティ
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08月29日(日)
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