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On the Production
by 井口健二
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■食べて祈って恋をして、三国志、遠距離恋愛、アブラクサスの祭、脇役物語+製作ニュース
実及び常識からあまりかけ離れるのは本作では適切でないよ
うにも感じた。
それからもう一点、巻頭近くのシーンで家を出てきた主人公
が手に持っていたペットボトルをほぼ逆さにして飲み切って
いるシーンがあるのに、続きのシーンでは同じボトルから普
通に飲んでいるように観える。些細なことだが、こんなこと
も気になるものだ。
* *
製作ニュースは多少余裕があるので、インディペンデント
の情報から。
昨年8月に『PUSH−光と闇の超能力者』という、ちょ
っと不思議な感覚の作品を紹介しているポール・マクギガン
監督の次回作に“Tomorrow”というタイムトラヴェルものの
作品が計画され、その主演に、監督とは2006年11月に紹介の
『ラッキーナンバー7』でも組んだことのあるジョッシュ・
ハートネットの起用が発表されている。
物語は、家族を殺された主人公がその事実を消すためにタ
イムトラヴェルを試みるが、その行動が新たな罠に主人公を
引き摺り込んでしまう…というもの。この概要だけ読むと、
2005年3月紹介『バタフライ・エフェクト』に共通する匂い
を感じるが、そこからの捻りはいろいろ作れるものだ。そこ
にハートネットの主演ならさらに期待もできる。
因にハートネットは、2004年の“Wicker Park”(邦題:
ホワイトライズ)でもマクギガン監督と組んでおり、本作が
実現すれば3回目になるとのこと。同じ俳優との顔合せは、
バートン=デップの例を挙げるまでもなく、映画製作ではい
ろいろ良い効果がありそうで、そこにも期待したい。
監督の作品は、2003年4月紹介『ギャングスター・ナンバ
ー1』以来、どれも相当に不思議な感覚の映画ばかりだが、
今回はSFの中でも王道のタイムトラヴェルということで、
ますます楽しみになるところだ。
* *
続いては、日本のマンガ/アニメーションを海外で映画化
する情報が2つほど届いているので紹介しておこう。
まずは、1980年代にそのアメコミ調の画風などから人気を
博していた寺沢武一原作『コブラ』を、2008年5月1日付の
第158回などで紹介した“Piranha”の3Dリメイクが全米公
開されたばかりのアレクサンドル・アジャの監督で実写映画
化する計画が報告されている。
2006年6月紹介『ハイテンション』などのフランス人監督
は、その後は『サランドラ』のリメイクや『ミラーズ』など
の作品でハリウッドに進出。最新作の“Piranha”は、先週
金曜日に全米公開され、3D映画のハンデ(上映劇場が限定
される)を負いながらも、初日の興行がtop 5に入るなど評
価も良好なようだ。
そのアジャ監督が、小学生だった80年代後半は、ちょうど
フランスなどのヨーロッパのテレビ局で、アニメーションの
“Cobra: The Space Pirate”が放送されていた頃だったの
だそうで、その放送日にアジャ少年は学校から走って帰って
テレビを点け、それを観るのが大好きだったとのことだ。
またアジャ自身は、「当時のヨーロッパで周囲の人たちに
は『スター・ウォーズ』があるだけだったが、僕と脚本執筆
でのパートナーのグレゴリー・レヴァサールには、『SW』
と『コブラ』があったのさ」と当時の思い出を語って、自分
への影響の大きさを説明していた。
ただしこの計画は、報道の時点では原作者の了承がまだ得
られていないようで、アジャは何とか寺沢を説得して映画化
を行えるようにしたいと希望を語っていたものだ。もっとも
これだけの発言をするのは、それなりの勝算があってのこと
だろうとは思われるが…
一方、原作に関しては、日本でもここ数年に亘ってOVA
やテレビシリーズの再製作など再評価が進んでいるようで、
その中で海外に映画化権を認めるのもいろいろ柵はありそう
だが、アジャ監督なら現時点では悪い選択とも思えないし、
何とか実現してほしいものだ。
なおアジャ監督は、本作の製作に関しては3Dでの撮影を
考えているようで、「3DとSFは最高の組み合わせだと考
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08月22日(日)
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