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On the Production
by 井口健二
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■獄に咲く花、RAILWAYS、ローラーガールズD、ドン・ジョヴァンニ、ウルフマン、クロッシング、ニンジャアサシン、Gフォース(追記)
『クロッシング』“크로싱”
脱北者の問題を描いた韓国映画。
主人公は、北朝鮮の炭坑で働く男。元は将軍様から勲章を貰
うほどのサッカー選手だったらしく、鉱夫たちのチームでも
素晴らしいプレーを披露しているが、病弱の妻と1人息子を
抱えての炭住暮らしは周囲の鉱夫たちと同様に困窮を極めて
いる。
そんな炭住街でも多少ましな暮らしをしている一家がいて、
その一家は大枚の賄賂を払って中国と往き来し、密輸を行っ
ていた。そんな中で主人公の妻の病状が悪化し、主人公は北
朝鮮では手に入らない治療薬をその一家に頼むのだが…
ところがその計画が破綻し、監視の目が厳しくなる中、主人
公は自ら中国に渡って金を稼ぎ、治療薬を購入して戻ってく
る計画を立てる。そして中国国境の危険な渡河に挑んで行く
のだが、それは思わぬ結果を招いてしまう。
前半の北朝鮮での暮らしぶりが、如何にも最近報道されてい
る北朝鮮の悲劇風で、かなり偏りがあるようにも観えた。し
かし後半に描かれる脱北者の姿には韓国側の対応の酷さも観
えて、何方も過剰さは感じられるものの、ある程度の真実は
描いているようだ。
さらに本作に描かれている脱北者を取り巻く支援体制など、
どのくらいの真実に基づいているのかは判らないが、如何に
もありそうな出来事が描かれている。特に宗教との絡みは成
程と思えたものだ。
なおこの作品は、一昨年の東京国際映画祭でも上映されて、
実はその時にも観ているのだが、僕には結末が納得できなか
った。そこで今回見直して、納得できないことには変わりは
ないが、元々の支援体制の弱さがこの悲劇を生んでいるとい
う解釈はできた。
それにしても、こんなお粗末な体制で「支援しています」と
言えた義理でもないと思うのだが。裏にはもっと複雑な事情
があるのだろう。
監督は、2005年2月紹介『オオカミの誘惑』などのキム・テ
ギュン。主人公には、韓国ドラマ『星に願いを』などのチャ
・インピョが扮している。撮影は、韓国、中国北部、モンゴ
ルのゴビ砂漠など実際の脱北ルートで行われ、撮影スタッフ
には複数の脱北者が含まれているそうだ。
『ニンジャ・アサシン』“Ninja Assassin”
ウォシャウスキー兄弟監督『スピード・レーサー』でハリウ
ッドデビューを果たした韓国R&Bシンガーのピ(レイン)
が、再びウォシャウスキー兄弟と組んで作り上げた忍者アク
ション作品。しかも製作にはジョール・シルヴァも参加して
いる。
シルヴァ+ウォシャウシキーとくれば『マトリックス』とな
るが、本作は正にその忍者版とも言えそうだ。もちろん物語
のテーマなどは全く違うものだが、それでも本作を観ている
とそこかしこにそのテイストを感じることができた。
物語の舞台は現代のドイツのベルリン。そこに本部を置くユ
ーロポール(ヨーロッパ刑事警察機構)の女性捜査官が政治
的な暗殺事件にリンクする巨額の金の動きに着目する。それ
は暗殺事件の度に所定の金塊の量に相当する金額が送金され
ているものだ。
しかしそんな謎の暗殺組織など存在するはずがないと、最初
は上司にも見向きもされない捜査官だったが、やがて調査を
続ける捜査官の身辺に怪しい動きが生じ始める。そして彼女
が襲われたとき、一つの影が彼女の命を守り通した。
それは役小角の流れを汲む忍者集団。西暦797年に成立した
歴史書「続日本記」にもその名の登場する呪術者が忍者集団
を作り上げ、彼らは究極の暗殺者として各国の執政者と契約
を結び、その政敵の暗殺を行って来たというものだ。
しかし、命令されれば仲間をも殺害する戒律の厳しさに1人
の若者が疑問を持ち、最高の修業を積んだその若者は集団を
離脱。彼らに対抗して行く運命を背負う。そんな若者が女性
捜査官と行動を共にすることになるが…
原案の脚本は、元はアートディーラーというマシュー・サン
ド。その原案から2008年12月紹介『チェンジリング』などの
J・マイクル・ストラジンスキーが脚本を手掛けている。監
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02月21日(日)
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