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On the Production
by 井口健二
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■後ろから前から、闇の列車光の旅、ダレン・シャン、アーサーと魔王マルタザールの逆襲、ビバ!ラブ、空を歩く少年+製作ニュース
の方が進んでいることは確かだ。

『空を歩く少年』“하늘을 걷는 소년”
「真!韓国映画祭2009」で上映される作品の2本目。
裕福な家に育ちながらも父親の再婚が認められず、家を出て
危険なバイク便の仕事をしている主人公が、仕事の依頼で訪
れたマンションに住む女性から幼い少年の輸送を頼まれる。
その配送先は結婚式場、そして受取人は新郎。
そんな荷物の受け取れるはずのない新郎は、元の住所への再
配送を要求するのだが…その少年とマンションに住む女性と
の関係は…そして少年の出自を求めて主人公と少年の旅が始
まる。
まず題名を聞いたときに、「水の上を歩くキリスト」という
言葉が思い浮かんだ。それでこの映画を観ていると、実に数
多くのキリストとの暗喩が示されており、少年がキリストの
再来であるかのようにも描かれている。
しかし物語はそれを断定するものではなく、それが結末に微
妙な陰影を与えている。ただしそれも観客の判断に委ねられ
ているものであり、映画には明確な答えが示されていない。
それがまたこの映画を興味深いものにもしている。
もっとも僕自身がキリスト教徒でないから、このようなこと
を呑気に書いていられるが、これがキリスト教徒の多い韓国
ではどのように評価されたのか、そんな興味も湧いてくる作
品だった。
出演は、2008年2月紹介『ひまわり』(キム・ヘヨンも出て
いた)などのホ・イジェと、1997年生まれの子役のカン・サ
ン。特にカンが堂々とキリストの言葉を述べるシーンは見事
なものだ。
監督は脚本家として多くの作品を手掛けているノ・ジンス。
その長編監督デビュー作となる本作では、かなり捻った物語
を手堅くまとめている。ただし映画の前半の展開で、本来な
らそこで数日が経過しているはずなのに、2人が一緒のまま
なのは首を傾げた。
全体としては、乗用車による移動を描いたロード・ムーヴィ
の要素もあって、その移動のシーンがエピローグにも活かさ
れている。しかし、それをどう解釈すれば良いのかが難しい
作品でもあった。
        *         *
 今回は、現地時間の2月2日に発表されたアカデミー賞の
各部門のノミネーションについて、SF/ファンタシー映画
の観点などから僕の個人的な見解を述べておこう。
 まずは、発表された候補作を概観すると、何と3D映画の
『アバター』が作品、監督、撮影、美術、編集、作曲、音響
編集、音響、視覚効果の9部門で候補に挙げられ、前回作品
を紹介した『ハート・ロッカー』と並んでの最多候補となっ
ている。ただしこの時点で、もはや11部門受賞の更新はなく
なった。因に『ハート・ロッカー』は、作品、監督、撮影、
編集、作曲、音響編集、音響の各部門で対抗馬となり、他に
主演男優部門と脚本部門の候補となっている。
 そしてこの2作は、前回も書いたようにジェームズ・キャ
メロン監督と、キャサリン・ビグロー監督が元夫婦であると
いうことでも話題になっているものであり、マスコミがそれ
を話題にして盛り上がると、受賞もこの2作に集中してしま
う可能性は高そうだ。そこでもしそうなった場合には、互い
に対抗していない部門は受賞の可能性が高くなるものだが、
『アバター』の視覚効果は、この条件でなくても間違いない
ところだろう。因に視覚効果部門の対抗馬は『第9地区』と
『スター・トレック』になっている。
 一方、『ハート・ロッカー』の脚本部門も可能性は高そう
だが、その他の『アバター』の美術部門と、『ハート・ロッ
カー』の主演男優部門が受賞したら、それは話題の盛り上が
りのお陰と言えそうだ。
 この他のSF/ファンタシー映画ファンが気になる部門で
は、メイクアップ部門を『スター・トレック』とイタリア映
画の一代記物“Il Divo”、歴史物の『ヴィクトリア女王』
が争っている。なおこの部門では、一昨年にもファンタシー
(POTC3)とフランス映画の一代記物(エディット・ピ

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02月07日(日)
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