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On the Production
by 井口健二
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■プリンセスと魔法のキス、COACH、マザー・テレサ、ランニング・オン・エンプティ、アンダンテ、半月、フィリップ、ハンナ・モンタナ+他
行く少年の破茶目茶な愛情表現と、医師が如何にしてトラウ
マを乗り越えて行くかの葛藤を描いて行くことになる。
ただし物語の展開は、若者たちの方はそれなりに描けている
ものの、医師の方がほぼ1シーンだけというのは、ちょっと
物足りなくも感じるところ。でもまあ映画の観客層を考える
とこれも仕方がないのかな…。それをギャグにしてしまった
のはやりすぎにも思えたが。
出演は、『鉄人28号』などの池松壮亮と、放送中のテレビ
シリーズ『小公女セイラ』に出演の忽那汐里、それに医師役
の大泉洋。また濱田マリ、蛍雪次郎、中村久美、西岡徳馬、
『大阪ハムレット』の森田直幸らが脇を固めている。
監督は、去年7月に『真木栗ノ穴』と今年1月に『60歳の
ラブレター』、さらに2月紹介の『非女子図鑑』にも関って
いた深川栄洋。脚本はテレビドラマの『魔王』の脚本などを
手掛け、演出家でもある西田征史。
プレス資料によると、原作の若い部分を脚本に任せ、大人の
医師の部分を監督が腐心したように受け取れるが、結局脚本
に引き摺られるところが多くて、監督自身の狙いがあまり出
せていないのではないかとも感じられた。
それはもちろん観客には原作読者も多く含まれている訳で、
そんな葛藤が原作に描かれていないのだとしたらそれも仕方
のない面はあるが、映画にはそれなりの仕掛けも施されてい
たようだし、それをやれるのならもう少し別の工夫も欲しか
ったところだ。
なお撮影は、原作の舞台でもある伊勢市で全面的に行われて
おり、地元の協力で商店街を封鎖するなどかなり大掛かりな
撮影も実施されているようだ。
『フィリップ、きみを愛してる!』
“I Love You Phillip Morris”
ジム・キャリーとユアン・マクレガーがゲイのカップルを演
じる実話に基づいた人間ドラマ。
キャリーが演じるスティーヴ・ラッセルはIQ169という
天才。元警官で結婚もし1人娘も誕生するが、交通事故に遭
って重傷を負い、病院に収容された彼は、以後は正直に生き
ることを心に決める。そして妻にゲイであることをカミング
アウトする。
その後、フロリダにやってきた主人公はボーイフレンドと暮
らし始めるが、とかくゲイの生活は金が掛かる。そこで始め
たのが詐欺師稼業。天才の頭を使って次々詐欺を成功させる
が、やがて警察の捜索を受けることに。
こうして刑務所に収監された主人公の目に、マクレガー扮す
る金髪碧眼の青年フィリップのおどおどとした姿が飛び込ん
でくる。その青年を守らなければと感じた主人公は、咄嗟に
「弁護士」と名告り、彼の保護者となって行くが…
キャリーが主演だからコメディ風なのは当然だが、真面目く
さった顔でひょうひょうと詐欺を働いて行く姿は映画として
は最高のエンターテインメントの部類だろう。脚本・監督は
2001年『キャッツ&ドッグス』、2003年『バッド・サンタ』
などの脚本を手掛けたグレン・フィカーラとジョン・レクア
のコンビ。彼らの初監督作品となるものだ。
そして本作では、キャリー、マクレガーの2人がキスシーン
から濡れ場まで、かなりきわどい演技を見せるのだから、こ
れは相当の観ものと言える。
それにしても人気スターの2人にこんな危険な演技をさせる
とは…という感じもするが、製作はリュック・ベッソン率い
るヨーロッパ・コープで、これはハリウッド映画とは違うテ
イストの作品だ。
共演は、2008年11月紹介『無ケーカクの的中男』などに出演
のレスリー・マンと、2008年『チェ』2部作でラウル・カス
トロ役を演じていたロドリゴ・サントス。因にレスリーは、
1996年の『ケーブルガイ』でもキャリーと共演している。
なお本作では、描かれている出来事自体はすべて実話に即し
ているが、台詞や手口などは多少ドラマティックにしている
とのこと。これは、「それが映画だ」という監督たちの判断
によるのだそうだ。
『ハンナ・モンタナ/ザ・ムービー』
“Hannah Montana: The Movie”
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12月20日(日)
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