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On the Production
by 井口健二
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■第22回東京国際映画祭・コンペティション以外(3)+まとめ
* *
映画祭の全体に関しては、上映本数は約270本、これがど
の範囲までを集計しているのかは判らないが、前年度の本数
は315本だったのだそうで、そこからは大幅に減少したと言
えそうだ。それは会場が六本木だけに限定されたことなどの
影響もあるかも知れないが、例年、朝10時頃から夜12時近く
まで映画を観ていたのに比べると、今年は朝11時から夜11時
前には終っていたようで、本数の減少は会期中にも感じられ
ていた。
いずれにしても全部は観られないことにはなるのだが、上
映本数の多さが映画祭の実力でもある訳だから、これは来年
に向けて頑張ってもらいたいものだ。
内容的には、イスラムとキリスト教の対立ような宗教的な
背景を持つ作品が多くなっていることは感じられたが、日本
人としては理解しなくてはいけないと思いつつ、中々難しい
問題もあるところで、そういう作品をどのようにアピールさ
せるかも問題のように感じられた。
また、コンペティションに出品された『テン・ウィンター
ズ』『永遠の天』を筆頭に、各国の現代史を描いたような作
品も多く観られたが、これも他国民の目で観ていると理解は
できても、そこに思い入れが生じるまでには至れないものが
多く、そこに当時のニュース映像などが挿入されても他国民
の目では何らノスタルジーも生じなかった。そこには映画の
作り手の技量に掛かる面もありそうだが、これが他国民にも
アピールできる作品になれば素晴らしいと思えたものだ。
この他の運営面では、一部に上映開始時間が遅れるなどの
トラブルはあったが、概ね問題はなかったように思えた。た
だし、例年会場近辺で配布される日刊の新聞があるのだが、
その4日目が当日の朝に品切れになっていた。聞くと、前日
の夕方から配布が始まっていたのだそうで、そこに何か人気
作品の記事でもあったのか、本来の配布日の朝には無くなっ
ていたものだ。
例年なら最終日まで全ての日付が残っていたものだが、発
行部数を絞ったのかそういう事態になっていた。このため例
年はコレクションを完成させるために、最終日には鑑賞する
映画はないのに会場まで行っていたのが、どうせ不完全なら
わざわざ行くことはないという気分にもなってしまった。
それに、例年の新聞は前日の記者会見の報告など生の情報
も入っていたものだが、今年はどの記事も事前に書かれたこ
とが見え見えのものばかりで、特に各紙の記者による星取表
も無くなっていたのが残念なところだった。恐らくこれは、
経費の削減で生の記事を取材して編集する人員を削除したも
のと思われるが、これでは日刊を出していることの意義にも
疑問を感じてしまうところだし、何かインチキをされている
ようにも感じられたところだ。
世界不況の折りから、いろいろ運営上でも難しいものには
なっているのだろうが、来年は1985年の第1回開催から25周
年を迎える節目でもあるし、例年にもました華やかな映画祭
を期待したいものだ。
10月26日(月)
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