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On the Production
by 井口健二
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■アドレナリン2、TAJOMARU、サマーウォーズ、ワイルド・スピード4、千年の祈り、悪夢のエレベーター、BLACK WATER、ココ avant シャネル
出演は『ラスト・エンペラー』などのヘンリー・オー、『ジ
ョイ・ラック…』にも出ていたフェイ・ユー。他にイラン出
身のヴィダ・ガレマニ、『クローバー・フィールド』や『ス
ター・トレック』にも出演のパシャ・リチニコフ。
なお本作は日本の会社が主な製作に当っているもので、国籍
は日本映画かも知れない。
『悪夢のエレベーター』
停止したエレベータに閉じ込められた人々を描いた木下半太
原作の映画化。同様の設定の作品は古今東西いろいろあると
思うが、本作では敢えてエレベーターの外にも話を発展させ
て、別の要素も含んだ物語が展開される。
同様の作品では、2001年にお笑いグループ・ジョビジョバの
リーダー・マギーが監督した『ショコキ!』という作品が記
憶に残っているが、同作にも出ていたモト冬樹が本作にも出
演して、監督は構成作家としても活躍する堀部圭亮が初長編
作品として手掛けた。
停止したエレベーター。そこにはヤクザ風の男と、ジョギン
グに向かう途中だったという中年男性、ゴスロリの少女、そ
れに若い男性の4人が閉じ込められて、それぞれに訳あり風
の男女の物語が展開される。
その中でも、若い男は妻が産気づいて急いで自宅に帰ろうと
しているのだが、その割りには乗っているのが住居マンショ
ンの下りエレベーターというのも変な話だ。その他にも、過
去や現在の各自の置かれている立場などが徐々に明らかにさ
れて行く。
携帯電話も普及している現代でこの設定にはいろいろ無理が
あって、観る前には何故外部との連絡が取れないのだろうな
ど、いろいろ考えてしまった。しかし作品ではうまくその辺
が説明されており、まあこんなこともあるかも知れない。
そしてそこからの外部への展開が、正直にはこちらこそが支
離滅裂なのだが、その無理を承知の展開がフィクションとし
て楽しめた。まあこちらも、「そんなこともあるかも…無い
よ!」と言うようなものだ。
出演は、モトの他には内野聖陽、佐津川愛美、斎藤工。上記
のキャラクターとは一目瞭然という感じの配役だ。その他、
本上まなみ、大堀こういち、芦名星が共演。芦名は『鴨川ホ
ルモー』『カムイ外伝』に続いて、毎回異なる役柄なのも面
白い。
堀部の監督は、基本コメディの作品で、笑い所もしっかり演
出されているのは当然だが、それ以外の人間ドラマも手堅い
感じで、最近のお笑い芸人による監督作品の中では、一つ頭
を出している感じがした。
『ブラック・ウォーター』“Black Water”
クロコダイルに襲われた人間の姿を描いた実話に基づくとさ
れる作品。
ヴァカンス旅行でオーストラリア北部に出掛けた姉妹と姉の
恋人の3人がリヴァーフィッシングのツアーに参加する。そ
れはやがて広大なマングローブの森に到着し、釣り糸を垂れ
る一行の乗ったボートの底から、突然突き上げるような衝撃
が襲って来た。
そして、転覆したボートから辛くも近くのマングローブの幹
によじ上った一行には、携帯電話なども使用不能となり、残
る脱出の手立ては水面に船底を見せているボートだけとなる
が…そこに、黒く淀んだ水の中から恐怖の陰が忍び寄る。
オーストラリア北部は最近人口も増えているが、同時に河川
に生息するワニ=クロコダイルの数も増加しているのだそう
だ。そして映画では、先に主人公たちがワニ園を訪問するシ
ーンなども織り込まれてクロコダイルの凶暴さが印象付けら
れる。
そしてこの作品では、現地を訪れた人なら誰でもが巻き込ま
れる可能性のある現実的な事件が、極めてリアルに描かれて
いると言える。しかも、撮影は北部ではないが実際のマング
ローブの沼地を使って行われ、クロコダイルの映像も本物だ
そうだ。
それでなくても、テレビで人気だったクロコダイルハンター
が襲われて亡くなったとか、クロコダイルの凶暴さはいろい
ろと知らされているものだが、本作でも樹上にいる人間にま
で襲いかかってくるなどの強烈さは、最近の動物愛護的な映
画の多い中では出色だ。
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07月12日(日)
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