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On the Production
by 井口健二
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■エッチを狙え、さそり、アンナと過ごした4日間、シャンソニア劇場、HIGH WATER、牡丹灯籠、サブウェイ123、HP/謎のプリンス
は当たり前過ぎて邪魔なのかな。こんなことを書くのも邪魔
と言われそうだ。
『怪談 牡丹灯籠』
松竹シネマ歌舞伎の第12作。
シネマ歌舞伎では、第7作の『文七元結』から第10作『刺青
奇偶』まで紹介しているが、何故か11作目の『牡丹亭』は観
せて貰えず本作となった。その本作は三遊亭円朝作の怪談噺
の舞台版で、円朝原作のシネマ歌舞伎は『文七元結』に次い
で2作目となる。
『牡丹灯籠』の口演は、僕は講談では聴いた記憶があるが落
語は憶えがない。ただ講談でも落語でも、後半の栗橋の段は
あまり演じられることはなくて、そこが観られることでも今
回は期待したものだ。
しかし、舞台の狭い高座では迫力の増す怪談噺も、間口の広
い歌舞伎では多少恐さも薄れるもので、しかも今回は大西信
行が文学座のために脚色した作品とのことで、ユーモアも交
えて気楽に楽しめる作品となっていた。正直に言って余り恐
くはない。
僕自身の『牡丹灯籠』体験では、小学生の頃に町内会の招待
で川崎に在ったビクターの研究所を見学したことがあって、
その時にステレオ音響の実験として6チャンネルの音響ドラ
マを聴いた記憶がある。
それは、カランコロンの下駄の音から主人公が取り殺される
までを描いたもので、前半は前面だけだった音響が、後半一
気にサラウンドになる瞬間はかなり迫力があったものだ。
そんな印象で言うと、今回の歌舞伎座では客席の頭上を灯籠
が彷徨うような演出になっていたようにも観えたが、その迫
力がシネマ歌舞伎には再現できていなかった感じがした。夏
場を迎えて怪談噺は好適だが、もう少し何かの工夫が欲しか
ったところだ。
出演は、片岡仁左衛門、坂東玉三郎、坂東三津五郎ほか。三
津五郎には円朝に扮して口演を行うという演出もあって、そ
れも面白かった。それにしてもこのお話は、新三郎とお露が
主人公ではなかったのですね。
それから本作の上映では、9月の横浜本牧での公開が『牡丹
亭』と同時期に行われるようだ。この作品は『牡丹灯籠』の
下敷きになったとも言われるもので、それを比較して観るの
も一興となる。僕は『牡丹亭』は観せて貰えなかったので気
になるものだ。
『サブウェイ123 激突』
“The Taking of Pelham 1 2 3”
1974年にウォルター・マッソー、ロバート・ショウの主演、
ジョセフ・サージェント監督で映画化された『サブウェイ・
パニック』。その作品が、『L.A.コンフィデンシャル』で
オスカー受賞のブライアン・ヘルゲランドの脚本、デンゼル
・ワシントン、ジョン・トラヴォルタ主演、トニー・スコッ
ト監督で再映画化された。
ハイジャック犯が地下鉄の車両を占拠し、乗客を人質に市へ
巨額の身代金を要求する。その要求は受け入れられて身代金
が支払われるが、さてそこから犯人たちはどうやって脱出す
るのか。そんな2重3重のサスペンスが描かれる。
オリジナルは日本公開の当時に観ているが、僕自身は正直に
言って地下鉄の描き方も今一つの感じだったし、マッソーの
アクションというのもピンと来なかった作品だ。ただし、こ
の作品をネットで調べると佳作として評価が高いようだが。
そんな作品が今回は見事に現代化されて、納得できるように
再構築されていた。しかも、オリジナルにはなかった主人公
となる運転司令室係官の背景や、犯人との駈引きも存分に描
かれ、それをワシントン、トラヴォルタの2人が見事に演じ
ているものだ。
そして後半のアクションも、これなら納得できるように描か
れていた。まあ市側が簡単に要求に応じるなど御都合主義的
なところは多少あるが、そこを細かく言ってもアクション映
画では始まらないだろう。
それ以上に本作では、白バイの先導で身代金を運ぶシーンの
迫力や、その他のアクションシーンがさすがトニー・スコッ
ト監督と納得させられたものだ。ただし、ここにちょっと自
嘲気味のコメントが付くのも面白いところだった。
それに、今も戦争を続けている国の国民だからこそ判るよう
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07月05日(日)
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