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On the Production
by 井口健二
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■ドリーム・オブ・ライフ、フラミンゴ/地球の秘密、宇宙へ、吸血少女対少女フランケン、空気人形、バーダー・マインホフ+製作ニュース
1970年代のドイツを震撼させたRAF(Red Army Faction=
ドイツ赤軍)の創始者とされるウルリケ・マインホフとアン
ドレアス・バーダーの姿を追った再現ドラマ。
1967年西ドイツ。シャー・パーレヴィの訪独に反対する学生
デモの最中、その参加者の1人が警察によって射殺される。
しかし大手メディアによるその報道は曖昧を極め、学生たち
の行動は一方的な悪として報じられる。そして、そんな報道
姿勢に疑問を感じた女性ジャーナリストのマインホフは左翼
思想へのシンパシーを高めて行く。
一方、バーダーとグドルン・エンスリンのカップルはヴェト
ナム戦争への抗議行動としてデパートの店舗に放火、逮捕さ
れる。その姿に共感したマインホフは、自ら彼らの脱獄に関
与し、そのグループの一員となる。
ところがその後の彼らの道程は当初の理想とは掛け離れたも
のとなって行く。彼らはまず組織の拡大を目指し、その資金
獲得や逮捕された仲間の救出のために、銀行強盗や誘拐、爆
弾テロ、ハイジャック、そして要人暗殺などの重罪に手を染
めて行くのだ。
「日本赤軍」の場合と同じで、最初は理想に燃えていたはず
の若者たちが、次第に悪事を重ねて行くようになる。それは
その国の左翼運動に冷水をぶち掛けることになり、結果それ
を終焉させてしまう。
何故そのような行動を彼らは取ったのか、それは理想と現実
のギャップを感じ始めたせいなのか。それは僕自身にとって
も長年の疑問だったし、その答えがこの作品にあるのかとも
期待はしたが、所詮は彼ら自身にも理解不能な心の闇のこと
だったようだ。
そんなRAF10年の歴史が綴られる。それは現代史の闇の部
分であったことは確かだが、この映画でもその闇は完全には
晴らされない。映画にはフィクションも含まれているし、謎
は謎のままだ。後は我々自身が考えなくてはいけないことな
のだろう。
出演は、『マーサの幸せのレシピ』などのマルティナ・ケデ
ィック、ウォッシャウスキー兄弟の『スピード・レーサー』
にも出ていたモーリッツ・ブライプトロイ、舞台女優のヨハ
ンナ・ヴォルカレク。
共演者では、『4分間のピアニスト』のハンナ・ヘルツシュ
プルング、『ヒトラー最後の12日間』などのベテラン=ブル
ーノ・ガンツらも登場。若手からベテランまで多数のドイツ
演技陣が結集している。
* *
今回の製作ニュースは、前回積み残したリメイクの話題を
お届けする。
まずは3月1日付第178回で紹介した“Total Recall”の
リメイクについて、その脚本に2006年『ウルトラヴァイオレ
ット』などのカート・ウィマーの起用が発表された。
オリジナルは、言うまでもなくフィリップ・K・ディック
原作の映画化だが、実はこのオリジナルの映画化では『エイ
リアン』などダン・オバノンとロナルド・シュセットが原作
のエッセンスのみ使った別のストーリーに仕上げたもので、
従って今回も、原作『追憶売ります』の再映画化ではなく、
1990年の映画“Total Recall”のリメイクとなっている。
そして今回の映画化では、オリジナル版の現代化を目指す
としているもので、元々未来が舞台の作品に現代化というの
も変な感じだが、取り敢えずはVFXなどに最新の技術を投
入した作品となるようだ。
製作は、『アイ・アム・レジェンド』も手掛けるニール・
モリッツ。監督は未定だが、ウィマーは『ウルトラ…』の監
督も務めていた。また、このリメイク権は以前はミラマック
スが所有していたものだが、今回の映画化が撮影まで進めば
同社は共同出資者になるという権利を留保しているそうだ。
それだけ期待できる作品ということなのだろう。
* *
次も続報になるが、昨年4月15日付の第157回で紹介した
1986年“Short Circuit”のリメイクにダン・ミラノという
脚本家の起用が発表されている。
この脚本には、当初はオリジナルを手掛けたS・S・ウィ
ルスン、ブレント・マドックの再登板も報告されていたが、
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06月21日(日)
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