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On the Production
by 井口健二
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■USB、ボルト、フィースト2、海の上の君は…、そんな彼なら捨てちゃえば?、ブッシュ、消されたヘッドライン+製作ニュース
因に、『JFK』は撮影、編集のオスカーを受賞し、作品、
監督、脚本などの候補になり、『ニクソン』では主演男優、
助演女優などの候補にも挙がったものだが、本作は0。同じ
大統領ものの『フロスト/ニクソン』が5部門の候補になっ
たのと対照的だった。
とはいうものの、史上最悪とも言われた第43代アメリカ大統
領の最後を飾るには、この映画は全く相応しいものだったと
言えるだろう。因にストーン監督は、「ブッシュが笑える奴
だったから映画にした」とまで言い切っている作品なのだ。
アメリカ史上2組目の親子で大統領になったブッシュ父子。
しかし、父親の第41代大統領が本当に望んでいたのは、長男
ではなく次男のジェブ(前フロリダ州知事)を大統領にする
ことだった。
元々長男は、親の威光で名門大学に合格したものの学生生活
では問題を起こして警察に逮捕されたり、卒業後はどこに就
職しても長続きせず、それでも父親の大統領選挙では選対を
指揮して辣腕を発揮するものの、父親からは労いの言葉も貰
えなかった。
そんな男のエディプス・コンプレックスが、ふと出会った宗
教家に感化され、やがて神の啓示を聞いたと言い出して大統
領選に出馬。大統領になるも9/11後には湾岸戦争で父親も
行わなかったイラク侵攻を実施してアメリカを泥沼へと引き
摺り込んでしまう。
という、アメリカに不幸の道を突進ませたジョージ・W.・
ブッシュの「実像」が描かれる。確かに、実にお馬鹿な奴が
大統領になったことは判る作品だが、これを気楽に笑い飛ば
せるほどには、まだ彼の悪業の跡が消えていないことも事実
だろう。
主演は本人も名優の息子というジョッシュ・ブローリン。共
演は、父親役にジェームズ・クロムウェル、副大統領チェイ
ニー役にリチャード・ドレイファス、ラムズフェルド役にス
コット・グレン、パウエル役にジェフリー・ライト、ライス
役にタンディ・ニュートンなど、それぞれ名の知れた俳優が
実にうまく化けている。

『消されたヘッドライン』“State of Play”
イギリスBBCで2003年に放送されたミニシリーズをアメリ
カを舞台に映画化した作品。ただし、製作は『ミリオンズ』
などのアンドリュー・ハウプトマンが担当、監督には『運命
を分けたザイル』などイギリスのドキュメンタリー監督ケヴ
ィン・マクドナルドが起用されている。
首都ワシントンの街角で、ヤク中の男とピザ配達人が銃撃さ
れる。その取材に現場に現れたのはワシントンの有力紙の記
者カル・マカフィー。それはただの麻薬絡みの殺人事件に見
えたのだが…
その翌日、兵器企業の疑惑を追求中の議員の女性スタッフが
死亡。その報道で涙を見せた議員に不倫疑惑が高まる。その
議員はカルの大学時代からの親友だった。しかし政界の問題
は彼の取材対象ではなかった。
ところがその2つの事件が繋がりを持ち始める。果たして、
女性スタッフの死は不倫が基の自殺だったのか? それとも
疑惑の追求を妨害しようとする兵器企業の陰謀か? カルの
取材の前に次々に謎が生じ始める。
この新聞記者カルをラッセル・クロウ。議員役を『ペイチェ
ック』のベン・アフレック。他に、『きみに読む物語』のレ
イチェル・マクアダムス。『ナショナル・トレジャー2』の
ヘレン・ミレン、『ベオウルフ』のロビン・ライト・ペン、
『ハンコック』のジェイスン・ベイトマンらが脇を固めてい
る。
政治陰謀ものはその基になる疑惑が大きいほど面白くなる。
本作のそれはアメリカの国防に関るもので、それは現実には
起こらないと信じるしかないほどに驚愕のものだ。でも、ア
メリカでは起きなくても日本ではどうなのかな、そんなこと
も考えてしまった。
ただし映画は、その陰謀そのものを描くのではなく、事件の
真相を暴こうとする新聞記者の執念を描いていくもので、そ
こには既に大企業に乗っ取られている本社の思惑や、締め切
り時間との競争、そして挫折などいろいろな要素が詰め込ま
れている。
さらに複雑な人間関係など、その多様性が、この作品をいろ

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04月19日(日)
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