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On the Production
by 井口健二
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■第180回
ていた。しかしそれも頓挫してしまったようで、このため今
回の製作を行うMGMでは、まずワーナーが所有していた脚
本の回収と、コメディアンの権利を所有する遺族との交渉を
行って、映画化の実現に漕ぎ着けたとのことだ。
 そして上記の配役が発表されたものだが、この内ではキャ
リーと、デル・トロのコメディは理解できるものの、ペンは
1989年の『俺たちは天使じゃない』以来となるコメディへの
再挑戦とのこと。その決断は相当のことだと思えるが、それ
を実現した元祖The Three Stoogesの魅力と、監督兄弟の実
力にも感心するところだ。
 一方、今回の作品は、以前の紹介のときにも書いたように
3人のコメディアンの伝記を描くのではなく、当時の過激な
コメディを現代の3人の演技で再現しようというもの。その
ため3人にはまず体型から似せることが要求されるが、特に
キャリーの肉体的改造レヴェルは相当のものになりそうで、
その役作りのためにキャリーは、すでに40ポンド(約18kg)
の体重増量を計画中とのことだ。
 The Three Stooges(3ばか大将)の短編作品は1934年に
第1作が発表されて以来、約190本の作品が製作されたとの
ことで、その中からの選りすぐりのコメディが3人の演技で
再現されることになりそうだ。撮影は今年の初秋に開始の予
定で、公開は2010年中に行う計画となっている。
        *         *
 2008年11月15日付第171回で紹介したエレクトロニック・
アーツ(EA)社のヴィデオゲーム“Dante's Inferno”の
映画化について、その脚本を『スーパーマン・リターンズ』
などの共同脚本を手掛けたダン・ハリスと契約したことが、
昨秋、争奪戦の末に映画化権を獲得したユニヴァーサルから
発表された。
 この作品については、以前の紹介の当時はまだ題名も明確
ではなかったものだが、結局この題名に落ち着いたようだ。
そしてゲームは、Xbox 360及びPS-3向けには来年の発売予定
とされており、映画化もその時期からあまりずれないように
行われることになっている。
 具体的な物語や展開は、ゲーム発売前なので詳細は不明だ
が、ダンテ『神曲』の内の『地獄篇』に基づくことは確かな
ようで、ゲームのプレーヤーは、真の恋人ベアトリーチェを
求めて地獄の奥底を彷徨うことになるようだ。そして映画化
を進めるに当っては、ゲームのクリエーターのジョナサン・
ナイトが全面協力することも発表されていて、つまり映画の
物語はゲームとほぼ一体のものになるようだ。
 ゲームをしない者にとってそれがどういう意味になるのか
はよく判らないが、映画は映画の単体として楽しめるものに
ならなくてはいけない訳で、ハリスにはその辺をしっかりと
見極めて脚本の執筆を進めてもらいたいものだ。
 という映画化の計画だが、その一方でEA社では、2008年
“Space Chimps”などの作品を手掛けたスターツ・メディア
との共同製作による同じゲームからのアニメーションの計画
も発表している。こちらの製作は、主にテレビアニメなどを
手掛ける脚本家や監督が中心になっているようだが、ゲーム
を構成する9つのサイクルからそれぞれスピンオフされた物
語によるオムニバスとなるようで、映画版とは異なる展開と
なりそうだ。
 1308年とされる『地獄篇』の成立からはちょうど700年が
経過しているが、ゲームや映画やアニメーションなど、この
展開ぶりを見たらダンテ本人は一体何と言うのだろうか。
        *         *
 2007年7月1日付第138回で紹介したツイステッド・ピク
チャーズによるRKO映画のリメイクについて、その第1弾
となる“I Walked With a Zombie”の映画化を、1993年公開
“Jason Gose to Hell: The Final Friday”などを手掛けた
アダム・マーカス監督で進めることが発表された。
 物語は、アメリカ南部ニューオリンズを舞台に、そこに建
つ古い商家の屋敷に家庭教師として雇われた主人公が、その
家の家族に隠された恐ろしい秘密を発見する…というもの。

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04月01日(水)
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