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On the Production
by 井口健二
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■路上のソリスト、チャンドニー・チョーク、エンプティー・ブルー、ジャイブ、ヴィニシウス、テラー・トレイン、Sing for Darfur
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『路上のソリスト』“The Soloist”
ロサンゼルスの路上で暮らしていたチェロ演奏家とLAタイ
ムズのコラムニストとの交流を描いた実話に基づく作品。
ロバート・ダウニーJr.が扮するロサンゼルスのコラムニス
トのスティーヴ・ロペスは、ある日、訪れた公園で心安らぐ
清らかなヴァイオリンの音色を耳にする。それは驚くことに
たった2本の弦だけで奏でられているものだった。
その演奏をしていたホームレスの男に声を掛けたロペスは、
その男がジュリアード音楽院に学んだと聞いて興味を持つ。
名門音楽学校に学んだ人物がなぜ今はホームレスなのか、ロ
ペスの取材が始まる。
この音楽家ナサニエル・エアーズを演じるのが、2004年『レ
イ』でレイ・チャールズを演じてオスカーに輝いたジェーム
ズ・フォックス。今回もチェロとヴァイオリンの演奏家を見
事に演じている。しかも心の病んでいる人を演じる姿は圧巻
だ。
しかし物語は、単に音楽家の半生を描いているだけのもので
はない。何故このような人物が生まれてしまったのか、そん
な現代社会の歪みのようなものも併せて描いて行く。心を病
んでいる人は彼だけではないのだ。
監督のジョン・ライトは、前作の『つぐない』でも複雑な人
間の心の闇を描いてみせたが、今回はもっとストレートに、
いろいろなものに押し潰されてしまう人の心を描いている。
それは人の優しさにも起因しているようだ。
そして、そんな音楽家に支援の手を差し伸べようとするロペ
スもまた、世間のしがらみの中で、自分に行き先を見失って
いる人物だったのかも知れない。そんな2人の交流が優しく
描かれて行く。
共演は、2005年『カポーティ』でオスカー候補になったキャ
サリン・キーナーと、2004年『リバティーン』などのトム・
ホランダー、1999年『トゥルー・クライム』などのリサ・ゲ
イ・ハミルトン。
因に、ロペスとエアーズの交流は今も続いており、映画の原
作となったコラムも連載中。物語は終っていなのだそうだ。

『チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ』
                 “चाँदनी चौक टू चाईना”
チャンドニー・チョークとは、インドの大都市オールド・デ
リーに在るバザールのこと。そこの住人が、ひょんなことか
ら中国に行ってしまうという物語。
物語の発端は万里の長城近くの中国の寒村。そこには昔1人
の英雄がいて北の襲撃から村を守っていた。ところが現代の
その村に北条と名告る男の一味が現れ、村の財宝や文化遺産
などを略奪し始める。しかも一味の武力は強力で村人たちは
手も脚もでない。
そんなとき村人たちに1つの啓示が下りる。それは英雄の生
まれ変わりが村を救ってくれるというものだった。そこで村
の長老2人がその生まれ変わりがいるというインドに向かう
のだが…
主人公のシドゥはチャンドニー・チョークにある屋台店で料
理人をしていたが、いつも幸運ばかりを願って占いなどには
精出すものの、実際の努力は皆無という男。ところがある日
のこと、彼の前に中国から来た老人2人が立ち、彼が英雄の
生まれ変わりだから悪人に苦しめられている村を助けるため
一緒に来てくれと頼まれる。
こんな主人公に、怪しげな通訳として同行する占い師や、一
方が主人公の憧れの女性でもある数奇な運命の双子の姉妹と
その父親などが絡んで、上映時間2時間37分のコメディアド
ヴェンチャーが展開される。
上映時間はインド映画としては短い方かも知れないが、歌在
り踊り在りのヴァラエティに富んだ作品が展開される。正直
なところは、出だしのテンポにはこれが2時間半続いたらど
うしようという感じもあったが、そのテンポも加速度的に上

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03月29日(日)
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