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On the Production
by 井口健二
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■キング・コーン、チョコレート・ファイター、台湾人生、17アゲイン、ラスト・ブラッド、ロシア革命アニメーション、スティル・アライヴ
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『キング・コーン』“King Corn”
アメリカの大学で最終学年生の若者2人が食に興味を持ち、
コーン(トウモロコシ)の栽培に挑戦する。しかしそれは、
食の根本を探る壮大な旅路へと彼らを誘うことになる。そん
な若者たちを追ったドキュメンタリー作品。
ある科学的な分析によると、人間の身体の多くの部分はコー
ン由来の成分で占められているのだそうだ。そこに興味を持
った若者たちは、米国内では最大の生産地であるアイオワ州
に1エーカー(4047u)の農地を借り、実際にコーンの栽培
を試みることにする。
その栽培は、遺伝子組み替えによる強靱な種子を蒔き、強力
な除草剤を使うことで実質的な農作業はないに等しいもの。
それでもコーンは立派に育ち、驚くほど簡単に収穫が得られ
てしまう。
ところがその収穫で得られる収入は、コーン価格の下落によ
って土地代や種子、農薬代など経費の合計に満たない。それ
でも政府の保障制度などによってコーンは作り続けられる…
そこに隠された秘密とは。
アメリカの農業政策も、以前は規制優先で減反政策など価格
の維持に重きが置かれていたそうだ。しかし1970年代にその
政策が転換され、アメリカは世界有数の農業国に変貌して行
く。それは特にコーンの栽培に集中していった。
このためコーンの価格は暴落するが、それでも彼らはその生
産を止めない。それどころかコーンの利用法を次々に開発。
それによって人間の身体の多くの部分がコーン由来の成分で
占められる事態となって行く。
何故アメリカはコーンを作り続けるのか、そこにはアメリカ
の、そして全世界の食に関わる重大な問題が含まれている。
コーンによって育てられた牛の悲劇。砂糖を減産に追い込ん
だ甘味料コーンシロップの登場など、今まで多少疑問には感
じながらも見過ごしていたいろいろな問題提起がこの映画で
は行われている。
さらに映画では、牛の胃袋の中を直接覗くことのできる研究
所や、学校の理科室のような設備でコーンシロップを作る実
験など、様々な取材によってコーンの現状が描かれる。そし
て最後は、1970年代に施策を転換した当時の農務長官本人に
まで迫って行く。
映画の結論として若者たちはある決断をする。その姿は見事
に鮮烈な映像で提示される。しかしそこには空しさも漂う。
彼らの決断が正しいものであることは確かなのだが…これは
我々自身にも突きつけられた問題だ。
『チョコレート・ファイター』“ช็อคโกแลต”
『マッハ』『トム・ヤム・クン』などを手掛けたプラッチャ
ヤー・ピンゲーオ監督+パンナー・リットグライ/アクショ
ン監督による最新作。
2人の監督は前の作品でも、CGIなどを極力排したリアル
アクションを売りにしていたが、今回は、前作までの主役を
張ったトニー・ジャーに替って、新人のジージャーことヤー
ニン・ウィサタナンが、正に身体を張ったヒロインを演じて
いる。
物語は、母親が不治の病に冒された少女が主人公。そこで彼
女は、母親が過去に金を貸していた男たちを突き止め、治療
費を得るためにその集金に向かうのだが、男たちはなかなか
金を返してくれそうにない。
ところがちょっと自閉症気味の彼女には、カンフー映画を見
るだけでそこに展開される技を体得するという特殊な能力が
備わっていた。しかも自らもカンフー映画を愛する彼女は、
密かに鍛練も積んでいたのだ。
ということでうら若い少女が、彼女の前に立ち塞がる男たち
をバッタバッタと打ち倒す…そんな痛快なアクションが展開
される。
これに、彼女の関係者である日本人やくざや、過去にはその
やくざと抗争を繰り広げた現地マフィアのボスなどが絡んで
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04月05日(日)
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