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On the Production
by 井口健二
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■第177回
 それにしてもオースティンとSFは、何故か相性が良いよ
うだ。
        *         *
 続報で、昨年11月15日付の第169回で紹介したMGM製作
で進められているロバート・ラドラム原作の“The Matarese
Circle”の映画化に、デイヴィッド・クローネンバーグ監督
とデンゼル・ワシントン主演に加え、トム・クルーズの共演
が報告された。
 1979年に発表されたオリジナルの物語は、冷戦時代を背景
にアメリカとソ連のスパイが協力せざるを得なくなるという
もの。その原作からの映画化では、『ウォンテッド』などの
マイクル・ブラントとデレク・ハースが現代化した脚色を進
めていたもので、そこにワシントンとクルーズの共演は面白
くなりそうだ。
 因にクルーズは、同じくMGM製作の“Valkyrie”の後に
は、スパイグラス社でシャーリズ・セロン共演による“The
Tourist”という計画はあるようだが、その他に決定してい
る作品はなく、今年中の製作が計画されている本作の映画化
には支障無く参加できそうだ。
        *         *
 一方、ラドラム作品の映画化権を管理しているキャプティ
ヴェイト・エンターテインメント(社名が変わったようだ)
社は、昨年12月1日付第172回で報告したようにユニヴァー
サルと包括的な契約を結んでいるものだが、同社が直接映画
製作に乗り出す第1号作品として“The Parsifal Mosaic”
(邦訳題:狂気のモザイク)という計画が発表された。
 物語は、KGBとの二重スパイだった自分の恋人が暗殺さ
れるのを目撃した合衆国の情報局員が、それを契機に職を辞
するが、後日、暗殺されたはずの恋人の姿を町で目撃する…
というもの。題名通りの複雑なモザイクが描かれそうだ。そ
してこの映画化の計画を、ユニヴァーサルでは最優先で進め
ると発表している。
 因にユニヴァーサルでは、昨年6月15日付第161回で紹介
した“The Sigma Protocol”の映画化も進めているが、この
作品はキャプティヴェイトとは別枠で進められているもの。
この結果、ユニヴァーサルでは、全くの映画オリジナルで準
備中の『ジェイスン・ボーン』シリーズの第4作と併せて、
3本のラドラム関連作品が同時進行中となっている。
 『ボーン』3部作の全世界興行収入合計が10億ドルに到達
しているラドラムの人気は、まだまだ続きそうだ。
        *         *
 またまた玩具の映画化で、ハスボロ社が1970年代から発売
しているマッスル型のキャラクター人形Stretch Armstrong
に基づく物語の計画が、先に同社との包括契約を結んだユニ
ヴァーサルから発表された。
 因に人形は、身長13インチながら腕を掴んで引っ張ると、
最大で4フィートにも伸びるという代物。そして計画では、
2003年にジム・キャリー主演で大ヒットしたVFXコメディ
『ブルース・オールマイティ』のスティーヴ・オーデカーク
が脚本を担当しており、人形の特徴を活かしたコメディでの
映画化になりそうだ。
 なおこのキャラクターに関しては、実は1998年頃にディズ
ニーでも映画化が企画されたことがあって、その時はダニー
・デヴィートとジャッキー・チェンの共演という計画だった
そうだ。つまりその時もコメディでの映画化が計画されてい
たもので、今回ものその線は変わらないものだ。
 因にハスボロ社は、元々今年公開される“Transformers”
と“G.I.Joe”の玩具の発売元でもあるものだが、一昨年の
映画版『トランスフォーマー』の大成功で、新たな可能性に
着目したようだ。そこでユニヴァーサルと包括契約を結んで
の直接進出となったもので、すでにこの契約からは、ボード
ゲームのMonopolyをリドリー・スコット監督で、また同じく
ボードゲームのCandylandを『魔法にかけられて』のケヴィ
ン・リマ監督で映画化する計画も進められている。
 ただし、すでに映画化のされたキャラクターに関しては、
映画会社側に優先権が生じることになっているもので、その

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02月15日(日)
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