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On the Production
by 井口健二
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■第176回
したロマン・ポランスキー監督作品“The Ghost”の撮影も
ドイツ国内で開始されたところで、ちょっとブームのような
感じにもなっている。
どんな映画になるのか、どちらも楽しみだ。
* *
続いて原作もので、アメリカのSF作家ダン・シモンズが
執筆した“Hyperion”4部作の映画化計画がワーナーで進め
られ、その監督に、昨年フォックスで“The Day the Earth
Stood Still”のリメイクを発表したスコット・デリクスン
の起用が報告されている。
物語は、人類が地球を脱出し、大宇宙の星々をテラフォー
ミングしつつその版図を広げた28世紀の未来を背景にしたも
の。数世紀の未来予測も可能なA.I.群と、そこに不確定要素
として影響する辺境の星ハイペリオンに置かれた時間を超越
する存在「時間の墓標」を巡っての人類の存亡を賭けた冒険
が展開される。
原作は、1989年に発表された“Hyperion”に続けて、90年
の“The Fall of Hyperion”、さらに96年の“Endymion”、
97年の“The Rise of Endymion”で完結し、それぞれの作品
はアメリカのSF賞のヒューゴー賞やローカス賞、翻訳本は
日本のSF大会で授与される星雲賞なども受賞している。少
なくともSFファンには人気の高い作品と言えそうだ。なお
今回の報道では、全体を“Hyperion Cantos”と呼んでいた
ようだ。
そして今回の計画では、短編映画作家のトレヴァー・サン
ズが“Hyperion”と“The Fall of Hyperion”の2作に基づ
く脚本を執筆したもので、今回の結果によって後続の2作の
映画化も実現することになりそうだ。なおサンズは、2002年
に“Inside”と題された短編を発表している他、ディメンシ
ョンの製作でマーティン・ケイディン原作の“Six Million
Dollar Man”のリメイクや、デイヴィッド・ブリンのSF小
説“Startide Rising”の脚色なども担当している。
それからデリクスンの監督では、昨年12月15日付第173回
でジョン・ミルトン原作“Paradise Lost”の映画化計画も
紹介しているが、同作も今回と同じワーナーで進められてい
るもので、どちらが先になるかは明らかにされていない。ま
たデリクスンは、2005年の『エミリー・ローズ』で共同脚本
を手掛けたポール・ボールドマンと共に、“Devil's Knot”
という作品の脚本も手掛けているとのことだ。
デリクスンは、他人の脚本を監督だけした前作では、かな
りの総スカンを食っているようだが、元々ファンタシー系が
好きな監督のようでもあるし、壮大なスケールとなりそうな
今回の計画で、失地回復となって貰いたいものだ。
* *
もう1本原作もので、ダニエル・トラッゾーニという女流
作家の新作小説“Angelology”の映画化権が、7桁($)で
ソニー・ピクチャーズと契約され、ウィル・スミス主宰のオ
ーヴァブルックの製作で映画化が進められることになった。
物語は、23歳の修道女の主人公が、ヴァーラインと名告る
angelogist(天使学者?)と共に、宗教的な謎に挑むという
もので、『ダ・ヴィンチ・コード』と『ナショナル・トレジ
ャー』を一緒にしたような作品と紹介されていた。因に原作
の出版権は、6桁($)の契約金でヴァイキング社と契約さ
れたとのことだ。
SPEでは、5月に公開される『ダ・ヴィンチ・コード』
の続編“Angels & Demons”の前宣伝の意味も込められてい
るのかも知れないが、出版権の金額も高いほうのものだし、
これで映画化がウィル・スミスの出演となれば、それもまた
ヒットの期待も高まるところだ。
* *
後はリメイク(?)の話題をまとめて紹介しておこう。
まずはワーナーから“Samson”という計画が発表されてい
る。この作品は、1949年にも映画化された旧約聖書に基づく
『サムソンとデリラ』の物語を、未来を舞台に再話しようと
いうもので、実は『8マイル』を手掛けたスコット・シルヴ
ァの脚本と『アイ・アム・レジェンド』のフランシス・ロー
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02月01日(日)
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