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On the Production
by 井口健二
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■第173回
2006年5月1日付第110回で紹介したイギリスの詩人ジョ
ン・ミルトン原作による“Paradise Lost”(失楽園)の映
画化について、『地球の静止する日』のリメイクを手掛けた
スコット・デリクスン監督が本腰を入れ始めたようだ。
この情報は、デリクスン監督が雑誌のインタヴューに答え
たもので、それによると監督は、ギレルモ・デル=トロの最
近の2作品『パンズ・ラビリンス』と『ヘルボーイII』には
大いに触発されたそうで、特に、『ヘルボーイII』で提示さ
れた世界観に圧倒されたそうだ。しかもそれを製作費の予算
内で仕上げていることに衝撃を受けたとしている。
そして監督は、「12月中にデル=トロ監督とディナーをす
る予定があり、そこで、彼が如何にしてこのような作品を作
り上げたかリサーチしたい。彼やピーター・ジャクスン監督
は、まさにSF/ファンタシー映画を作り上げる全ての要素
を把握しており、それを観客に提示する手段を心得ている。
それは他の誰にも真似できないものだが、僕はそれを彼らか
ら学び取って、“Paradise Lost”の製作に役立てたい」と
語っているものだ。
このインタヴューはリメイク作品の公開前に行われたもの
のようで、同作品がヒットで受け入れられた後に彼の考えに
変化があるかどうかは判らないが、監督が次回作にかける意
気込みには、違うものがあるようだ。キリスト教の聖書を背
景に神々と悪魔たちの究極の戦いを描く物語を、正にファン
タシーの感覚で撮りたいとしているデリクスン監督の次回作
には大いに期待したいところだ。
* *
ここからは続編の話題をいくつか紹介しよう。
まずはちょっと意外な続編で、ウィル・スミスがこの夏公
開されたスーパーヒーロー『ハンコック』の続編を検討して
いるようだ。その情報によると、実はスミスには別のスーパ
ーヒーローものとして“Captain America”の打診があった
そうなのだが、その際スミス自身が、「『ハンコック』の宇
宙には、もっと描かれていないキャラクターがいたはずだ。
それを続編で描きたい」と回答したとのことで、数年以内に
“Hancock 2”が作られることはほぼ確実なようだ。
因に、オリジナルの『ハンコック』は、日本の興行はそれ
ほど目立つものではなかったが、アメリカでは最終的に2億
2800万ドルの興行収入を上げており、続編が作られることに
は全く問題の無い水準に達しているものだ。
なおスミスは、新作の“Seven Pounds”が12月19日に全米
公開されるところで、今回の情報はそれに関連して報告され
たものだが、スミスにはこの他“I,Robot 2”“I Am Legend
Prequel”などの計画も噂されており、その中では、今回の
情報が最新で一番確度も高いようだ。
それにしても、『ハンコック』ではスーパーヒーローの最
後の生き残りというようにも語られていたと思うが、それが
他にいたとしてもその設定も今回と同じなのだろうか…それ
だと関係はかなり複雑になりそうだが。
* *
お次は前回報告した“Twilight”の続編“New Moon”に関
して、前作を監督したキャサリン・ハードウィックの降板が
発表され、代って『ライラの冒険・黄金の羅針盤』を手掛け
たクリス・ウェイツの起用が発表されている。
因に“Twilight”の興行収入は、アメリカ国内1億4400万
ドル、海外3300万ドルに達しており、原作本が1700万部以上
発行されているというシリーズの威力は発揮されているよう
だ。この原作本の威力に関しては、前回宗教的な背景も報告
したものだ。
一方、『ライラの冒険』は、アメリカ国内は7000万ドルに
終ったものの、海外では3億ドル突破の成績を残している。
しかし元々の製作会社だったニューラインがワーナーに吸収
合併されて消滅したことから、ワーナーでは続編の計画はま
だ立てられていないようで、ウェイツにはその悔しさもぶつ
けた作品を期待したい。
なお発表に際してウェイツからは、「ステファニー(原作
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12月15日(月)
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