ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460259hit]
■カフーを待ちわびて、はじめての家出、天使の目・野獣の街、クジラ、エレジー、年々歳々、いのちの戦場、重力ピエロ
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『カフーを待ちわびて』
第1回「日本ラブストーリー大賞」を受賞した原田ハマ原作
の映画化。
リゾート開発に揺れる沖縄県の離島を舞台に、左手に障害を
持つ青年と、その青年を訪ねてきた女性の奇跡のラヴストー
リーが展開される。
主人公の青年は島で駄菓子屋を営んでいるが、日中は昼寝ば
かりで商売をやる気が有るのかどうかも判らない。またその
青年は、村の適齢期の男性では唯一の独身者でもあった。
そんな青年がリゾート開発に絡んで本土に視察に行った際、
とある神社で皆にせがまれるまま縁結びの絵馬を書いてしま
う。その絵馬には「嫁に来ないか。幸せにします」と書き、
住む島と自分の名前を記載した。
そして島に帰ってしばらく経ったとき、「絵馬を見ました」
という女性の手紙が届く。当然半信半疑だった青年の前にや
がて1人の女性が現れる。その女性は彼の世話を焼き始める
が、何故か自分の素性はあまり話そうとしない。
その間にも開発計画は進んで行き、村の大半は賛成に回って
青年にも自宅を建て直して近代的なショップにする案が提示
される。その条件は決して悪いものではなかったが、彼には
家をそのままにしておきたい特別な理由が有った。
過疎と開発、日本の土着文化が危機に直面する。恐らく日本
中で行われている出来事が、沖縄の青い海と自然を背景に語
られ、それに翻弄される男女が描かれる。
そのラヴストーリーはあまりに奇跡的であり、決して現実的
なものではないが、まあ夢物語としてはこれで良いのかな…
そんな程度のお話だ。でも、ラヴストーリーの大半はこんな
物かも知れないし、夢物語だからこそ支持される面も有るの
だろう。
主演は玉山鉄二と、今春の東宝映画でデビューしたマイコ。
他に、勝地涼、尚玄、高岡早紀、白石美帆、宮川大輔、ほん
こん、沢村一樹らが共演している。
監督は、昨年の東京国際映画祭に出品された『ハブと拳骨』
の中井庸友。前作と同じ沖縄が舞台の作品だが、随分と違っ
た雰囲気のものを作り出した。風景の美しさや人情の厚さ、
沖縄の風土が思う存分に描かれて、たぶん若い女性には最高
の心に染みる作品と言えそうだ。
『はじめての家出』
avexニュースター・シネマ・コレクションと題するavex製作
による長編作品集の1本。
『容疑者Xの献身』で松雪泰子の娘を演じていた金澤美穂の
主演で、両親が離婚して自分の居場所が判らなくなった少女
の成り行き任せの家出が描かれる。
主人公は両親が離婚し、1人っ子の彼女はそれぞれの家で交
互に暮らすようになる。それぞれの家には個室も与えられ、
それなりの環境は整えられているが、両親は早くも次の相手
と付き合い始めているようだ。
そんなとき、まだ馴染めない転校先の立入禁止の校舎の屋上
で、ちょっと危ない感じのする同級生の女子と一緒になった
主人公は、その同級生が計画している家出に同行しようと思
い立つ。一方、主人公を慕う男子生徒も現れて…
ところがその家出は、行く先々で散々なトラブルに巻き込ま
れる。
主人公は、もちろん両親の離婚に悩んではいるが、作品はそ
れほど深刻ぶって描いているものではない。特に、彼女に振
り回される男子の存在など、むしろその行動はコミカルにも
描かれているものだ。
そんな少女のちょっとした冒険を、いろいろなエピソードを
盛り込んで、それでいてあまり破綻もなく描き切ったのは、
それなりに考えて作られた脚本とも言えそうだ。実際、伏線
の張り方もかなり周到なものだった。
共演は、「午後の紅茶」のCMなどに出ている斎藤リナと、
『赤い糸』に出演の米村美咲、それに男子生徒役の佐川大樹
が、演技は未熟だが良い味を出している。また、小峰麗奈や
下条アトムらもゲスト出演していたようだ。
[5]続きを読む
12月14日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る