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On the Production
by 井口健二
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■寝取られ男のラブ♂バカンス、旭山動物園物語、赤い糸、アライブ、ヘブンズ・ドア、女バス、空へ、チェ28歳の革命/39歳別れの手紙
バスケットボール部に、公募で選ばれた監督がやってくると
ころから物語は始まる。
その監督は、昼間はワシントン大学で税学を教えているとい
うビル・レスラー。彼は根っからのバスケットボール好きが
高じて応募したが、スポーツ指導のプロではない。しかしそ
のアマチュア故の掟破りの指導法が、やがて彼女たちに栄冠
を掴ませることになる。
彼の取った試合の戦法は、特定のオフェンスを置かず、全員
守備、全員攻撃を仕掛けるというもの。日本のサッカーにも
通じるその戦法が、花形スター選手を擁しないチームに戦う
術を与えて行く。
その戦法は、ある年は狼の群れと名付けられ、ある年はライ
オンの群れとなり、また狼の群れの復讐、そしてピラニアの
大群へと変化して行く。しかしそれには選手間の信頼も欠か
せない。それを形成するための手法などは、日本のチームに
も学ばせたいところだ。
それでも、その群れのリーダーとなるべき選手間の確執や、
予期せぬ様々な出来事が予想外の展開を産んで行く。そして
それは社会をも巻き込む事態へと発展してしまう。全く誰か
が仕掛けたのではないかと思われるくらいの出来事の連続。
しかしそれでも彼女達は、信頼する監督の許、一致団結して
栄光に向かって突き進んで行くのだ。
元々ルーズベルト高校は、男子スポーツでは名門校のようだ
が、女子はその陰に隠れていたようだ。だからアマチュアの
監督も入り込む余地があったのかも知れないし、そんな学校
だからこそ集まった選手もいることになる。
そんな想定外の出来事が見事にカメラに納められている。で
も結局、それで全てがうまく行った訳でないという結末も…
いろいろ考えさせられる作品だった。
『空へ−救いの翼−』
航空自衛隊小松基地に所属する航空救難団を舞台にしたレス
キュードラマ。
主人公は、女性初の救難ヘリパイロットとなった新人隊員。
彼女は幼い頃に離島で急病になった母親を、嵐を突いて救援
にきた自衛隊の救難ヘリを目の当りにし、その職務に憧れる
ことになる。そして入隊した彼女は小松基地に配属される。
しかし、救難ヘリの操縦には細心の注意と集中力が必要で、
憧れの職に就いたばかりの彼女はなかなか集中が保てない。
その一方で、燃料切れなどの事態では、発見した生存者を見
捨てなくてはならなくなる非情さも体験する。
そんな中で、女性の上官や同僚たち、また一緒に救難派遣に
向かう仲間たちと共に彼女は成長して行く。
自衛隊の女性パイロットは2008年9月16日現在17名いるが、
そのほとんどは輸送機乗務。救難団にも捜索機と輸送ヘリの
パイロットはいるが、救難ヘリの女性パイロットはまだ誕生
していないのだそうだ。ただし規制がある訳ではなく、近い
将来誕生の可能性はあるとされている。
従って、本作の物語は現状ではフィクションということにな
るが、その映画化に当っては、それ以外のフィクションをで
きる限り排除する方針で進められている。
このため映画に登場する山岳や海上、その他の救難シーンは
全て訓練で実施された作業の模様が実写で撮影されており、
実際の活動が隊員たちの吹き替えにより撮影されている。そ
の迫力は、到底VFXなどでは再現できないものだ。
その中には、両側の余裕50cmという狭い突堤に着陸するシー
ンなどもあるが、何と言っても白眉は航行中の護衛艦に着艦
するシーン。空母への艦載機の着艦などは映画で何度も観て
いるが、ヘリを速度を合わせながら着艦する困難さは初めて
知ったものだ。
その他にも、浜辺を疾走するバイクの背後にヘリが登場する
など、訓練の範疇で撮影されたシーンが随所に織り込まれ、
さらに救難団以外の戦闘機の訓練シーンなども物語の展開に
合わせて挿入されている。これは航空機フェチにはかなりの
観ものだ。
主演は、自身の父親が救難隊員で訓練中の事故で殉職したと
いう高山侑子、正に運命の配役という感じだ。他に渡辺大、
井坂俊哉、金子賢、木村佳乃、三浦友和、浅田美代子らが共
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11月16日(日)
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