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On the Production
by 井口健二
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■シリアの花嫁、蘇る玉虫厨子、アンダーカヴァー、鎧−サムライゾンビ−、その男ヴァン・ダム、ミーアキャット、無ケーカクの命中男、斬
タリー。ただし今回は、ザ・ワインスタイン・コープ(TW
C)が共同製作として加わっており、撮影にはフィルムを使
用、ワイド画面(2.35:1)で製作されている。
『アース』もそうだが、BBCのドキュメンタリーは、予め
脚本を作ってそれに合わせて撮影を行うのだそうだ。ただし
自然相手の撮影では当然ハプニングもある訳で、それらを巧
みに取り込んで編集が行われて作品が完成される。
従って、作品のストーリーは理路整然として判りやすいし、
観ていて気持ち良く楽しめる作品となっている。本作の場合
も、映画の最後にミーアキャットの習性などの研究成果に基
づいて構成された物語であることが、テロップで明記されて
いた。
その物語の舞台は、カラハリ砂漠。乾季の始まった草原の一
角にミーアキャットの群れの住む巣穴があり、そこで今年生
まれたミーアキャットの成長と、両親が狩りに出ている間に
その子守と教育を任された年長のミーアキャットの奮闘が描
かれる。
その巣穴の傍には大きな鳥の巣のある灌木が立っていて、そ
こには幼いミーアキャットを狙う毒蛇も住んでいる。そして
その毒蛇が巣穴に侵入したり、隣接地に住む群れとの餌場を
奪い合う争いや猛禽類の空からの襲撃などが、見事な映像演
出で綴られる。
ミーアキャットそのものは日本の動物園でも観られるし、そ
の太陽に向かって直立する可愛らしい姿も観ることができる
が、そのミーアキャットが年長の兄弟から教育を授かるなど
の習性は知らなかったし、集団で毒蛇を撃退する姿なども興
味深く観られた。
そのあまりに見事な演出は、見方によっては多少やりすぎと
思える部分もあるかも知れないが、僕はそれはそれとして楽
しめたものだ。
それに加えてこの作品では、何しろミーアキャットの愛らし
い姿が満載で、直立したままバランスを崩して倒れてしまっ
たり、肘枕や膝枕で寝ている姿など、それを見ているたけで
も楽しめる作品だった。
因にミーアキャットはマングースの仲間だそうで、映画の中
では毒蛇を集団で威嚇して撃退する様子が出てきたが、これ
がいつしか集団で狩りをするようになったら…と思ったら、
それは観ていてちょっと恐ろしくなった。
『無ケーカクの命中男』“Knocked Up”
昨年6月の全米公開では7週連続のトップ10入りを果たした
大ヒットコメディ作品。この原題は、自分のホームページの
方でも何度か登場したもので、実は以前から注目していた作
品がようやく日本公開されることになった。
それにしても、その通りだから仕方がないとは言えこの何と
も言えない邦題と、アメリカンコメディということでは、か
なりいい加減なものを予想してしまうところだが、内容的に
はかなり真面目なところを突いている作品だ。
物語の主人公は、テレビのエンタメ情報番組でレポーターに
抜擢されることになった女性と、カナダ出身でネットオタク
のフリーターの男。この2人が浮いた気分の中で出会い、行
き摩りのセックスとなるが、これが一発命中で妊娠させてし
まう。
しかし彼女は仕事優先、出産はするが、お互い知り合っても
いない彼との結婚には踏み切れない。そんな2人の関係と、
実は倦怠期にある彼女の姉夫婦の様子などが、かなりリアル
に描かれている。
もちろんそこに至るまでの経緯などはかなりの下ネタ満載の
ものだだが、いざそこに至ってからの2人の駆け引きや心理
的な葛藤などは、面白く描かれれば描かれるほどに真剣に心
に響いてくるものになっていた。
まあ、世間一般でもありそうで…なさそうで、そんな案外現
実的なドラマが展開される。そこに描かれる2人の態度も真
面目で、特に出産シーンは、僕自身、お産の学校に通ってラ
マーズ法の出産にも立ち会った者としては、その感動が鮮烈
に蘇ってきたものだ。
主演は、1995年『暴走特急』やテレビ“Grey's Anatomy”な
どのキャスリーン・ハイグルと、“The Green Hornet”の映
画版が進行中のセス・ローガン。他にポール・ラビット、レ
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11月09日(日)
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