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On the Production
by 井口健二
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■そして私たちは愛に帰る、TOKYO JOE、デス・レース、永遠のこどもたち、ティンカー・ベル、ディー・ウォーズ、ラット・フィンク
元々の舞台劇では照明で表現され、アニメーションは絵だけ
で、つまり人間の配役はなかったが、今回は声優が配役され
た。これは1992年『フック』でジュリア・ロバーツ、2003年
『ピーター・パン』でリュディヴィーヌ・サニエが実写で演
じたのに継ぐものだ。
また、最近のディズニー映画の巻頭ロゴでは、3Dアニメー
ションのお城にティンカー・ベルが魔法の粉で金色の輪を架
けているが、本作の最後で、ティンクが登場して画面が変る
のは昔のテレビ番組『ディズニーランド』の巻頭シーンと同
じ仕種。そんなことも懐かしい作品になっていた。
さらに映画は、結末に素敵な仕掛けも用意されている。そし
て物語は、2009年公開予定の第2作“Tinker Bell and the
Lost Treasure”へと続いて行く。

『ディー・ウォーズ』“D-War”
ハリウッド俳優が主演して、ロサンゼルスを舞台に英語で演
じられる韓国製怪獣映画。
韓国の言い伝えでは、天界に住む大蛇があるものを飲み込む
と龍に変身するのだそうだ。そのあるものは500年に一度地
上に現れる。それを尊い大蛇が飲み込めば良いが、邪悪な大
蛇が飲み込むと、人類は滅亡の縁に立たされることになる。
そして500年前、邪悪な大蛇がそれを飲み込む寸前まで行く
が、そのあるものは自ら破滅して人類は難を逃れた。それか
ら500年、そのあるものはロサンゼルスに復活していた。そ
れを護る戦士と共に。
物語の主人公は、その戦士とされた若者。彼は報道番組のレ
ポーターをしていたが、謎の災害現場で戦士の任務を目覚め
させるものに遭遇する。そして彼は、あるものを宿した女性
を護るために立ち上がるが、500年を経た邪悪な大蛇は強力
な軍勢を伴っていた。
こうして、邪悪な大蛇の軍勢と人類の存亡を掛けた戦いが開
幕する。しかもこの戦いが、結構人間側も歯の立つところが
味噌で、市街戦や空中戦など大掛かりに映像化されている。
主演は、テレビシリーズ『ロズウェル』に主演し、アメリカ
版の『呪怨』ではサラ・ミッシェル=ゲラーの恋人役を演じ
たジェイスン・ベアと、『フライトプラン』などのアマンダ
・ブルックス。他に、1997年『ジャッキー・ブラウン』でオ
スカー候補になったロバート・フォスター、新人のエイミー
・ガルシアなどが共演。
ただ、何と言うか見た目はアメリカ映画なのに、何処か韓国
映画テイストなのは微妙なところで、それはもちろん500年
前のシーンの舞台が韓国であることにも拠るのだが、全体的
に不思議な感覚にはなっている。
「アメリカの観客に見せるには、アメリカ人の俳優を使い、
英語の台詞でアメリカを舞台にしなければならない」と言っ
たのは、『ファニーゲーム』を自らリメイクしたミヒャエル
・ハネケだが、僕には、かえってソウルが舞台の方がしっく
りと来たような感じもした。
脚本、監督は、1999年『怪獣大決戦ヤンガリー』を発表した
シム・ヒョンレ。本作はその公開の直後から企画を始め、約
10年掛かりで完成させた作品ということだ。
なお本作は、今年の東京国際映画祭の特別招待作品にも選ば
れている。

『ラット・フィンク』“Tales of the Rat Fink”
剥き出したギザギザの歯に、血走って飛び出した眼、ボサボ
サの体毛の周りには無数の蠅が飛び交っている。そんな下品
で凶悪なネズミのキャラクターを1960年代に生み出し、当時
はTシャツから玩具まで一世を風靡したエド“ビッグ・ダデ
ィ”ロスの姿を、絶妙のアニメーションで描いたanimentary
作品。
最初は自動車のカスタムビルダー。1950年代、第2次大戦後
からの好景気に沸くアメリカでは、新車の大量供給によって
捨てられた旧型車に目を着けた若者たちがそれを改造し、レ
ースなどに興じることになる。そんな中でも異彩を放ってい
たのがエド・ロスだった。
彼は、常識破りのアイデアで次々名作を発表し、全米の自動
車ショウを席巻する。そんな活躍に目を着けた玩具業界がそ
のプラモを発売。それも大ヒットして、それがまた次の名車

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09月28日(日)
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