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On the Production
by 井口健二
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■ヘルボーイ2、アラトリステ、草原の女、きつねと私の12ヶ月、252、ロック誕生、ザ・ムーン、ブラインドネス(追記)
1970年代に巻き起こった和製ロックブームを回顧する作品。
内田裕也、ミッキー・カーチス、中村とうようら当時の仕掛
け人だった人たちの証言や、ミュージシャンの思い出話など
が、当時のライヴ風景を収めた映像と共に再現される。
僕自身は、70年安保前の反戦フォークブームには多少思い入
れがあるが、それ以降の和製ロックにはあまり関心が無かっ
た。実際に今回のフィルムの中では、遠藤賢司はかろうじて
当時のフォークコンサートへの出演で観ているが、その他は
名前を聞いている程度だ。
でもまあ、こんな僕でも名前は知っているグループのライヴ
映像だから、それは懐かしく観ることもできたし、またイン
タヴューの発言では、「なるほどそうだったのか」という思
いのした部分もいろいろあった。
ただ、それを感じられるのが、僕と同じ位かそれより上の世
代ではないかというのが心配なところだが…。挿入された当
時のライヴ映像などには、今観ても充分に面白いものも多い
と思うので、出来るだけ若い人にもアピールしてもらいたい
ものだ。
とは言うものの、折角インタヴューで言及されているのにラ
イヴ映像の登場しないものが多いのは残念なところで、いま
さら「キャロル」はいいとしても、「外道」ぐらいは元メム
バーの加納秀人本人が登場しているなら、ライヴの映像も欲
しかったところだ。
因に、登場しているライヴ映像は、フラワートラヴェリン・
バンド(Make up)、頭脳警察(銃をとれ)、はっぴいえん
ど(はいからはくち)、イエロー(ゴーイングアップ)、遠
藤賢司(夜汽車のブルース)、ファーイースト・ファミリー
バンド(地球空洞説)、村八分(草臥れて)、クリエイショ
ン(ロンリーナイト)、四人囃子(おまつり)など。
中にはかなり画質の悪いものもあるが、当時の雰囲気は存分
に楽しめるものだ。
ただし、この映像にバンド名はあっても曲名が表示されない
のは片手落ちの感じで、特に、「四人囃子」の「おまつり」
は、インタヴューで言及された直後なのに、歌詞に単語が出
てくるまで確認できなかったのは気になった。
その他、インタヴューの中には「まだ話せないこともある」
と言っている発言者も居たようで、その辺は今後もしつこく
追って行って欲しいものだ。
『ザ・ムーン』“In the Shadow of the Moon”
1961年5月25日のジョン・F・ケネディの演説から始まり、
1972年12月19日のアポロ17号の地球帰還で終結するアポロ計
画の全歴史を、10人のアポロ宇宙飛行士へのインタヴューと
当時の映像で再現したドキュメンタリー。
2007年1月のサンダンス映画祭でプレミア上映されて観客賞
を受賞したのを始め、2008年第22回アーサー・C・クラーク
賞など世界各地での受賞に輝いている。
僕は、1969年7月のアポロ11号による人類初の月面着陸を鮮
明に覚えているし、アポロ計画というのは、正に自分の生き
た時代の出来事だったと思えるものだ。しかしアポロ13号の
事故以降は、正直に言って何をやっていたのかもあまり記憶
にない。
実際には、15号で初めて月面車が使用されたり、峡谷部の探
査や長期滞在などいろいろな研究が行われていて、今回この
作品を観ていて「そう言えば…」と思い出すことも多々あっ
たが、ある意味の忘却の彼方という感じもしたものだ。
それくらいにアポロ計画の後期は一般の関心も薄れ、露出も
少なかった。実際1978年の『カプリコン1』は、そんな世間
の宇宙開発への無関心に対して作られたものだ。最近は変な
意味で使われていることも多いようだが。
だからもっと若い人には、本当にこんなことが行われていた
のだと驚くようなものも多いのかも知れない。実際、映画の
中には、今回初めて一般公開される映像もあるとのことで、
いまさらながら人類が行った偉大な冒険を目の当りにするこ
とができるものだ。
もちろんその中には、アポロ1号での悲劇もあるし、アポロ
8号が急遽月周回に向かう状況や、後で問題にされたその際
に聖書を読み上げた経緯、アポロ11号で星条旗を立てた経緯
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09月14日(日)
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