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On the Production
by 井口健二
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■第165回
中国資本のプロダクション基金を獲得し、2003年ローカス賞
処女作部門の候補になったリサ・ラーナー原作“Just Like
Beauty”の映画化に乗り出すことになった。
 物語は、ギャングやミュータントや自殺教団が蠢く反ユー
トピアの未来社会を舞台に、母親を喜ばせるために美人コン
テストに出場することにした14歳の主人公を巡るもの。映画
のジャンル分けではダーク・コメディと紹介されていた。そ
してこの原作から、2007年にジェームズ・フランコ、シエナ
・ミラーが共演した“Camille”などのニック・パースティ
の脚色が契約されている。
 物語的にはいろいろ作れそうだが、反ユートピアのイメー
ジをどのように映像化するかが問題になりそうな作品で、こ
れから選考される監督が注目になるものだ。
 なお、製作者のシーゲルは、この他にマイクル・ホーンバ
ーグ原作による“Downers Grove”という作品の映画化も進
めているが、そちらは、『アメリカン・サイコ』などの原作
者ブレット・イーストン・エリスが脚色を担当することでも
話題になっているようだ。
        *         *
 ジェイムズ・パタースン原作のヤングアダルト・シリーズ
“Maximum Ride”について、その映画化権をコロムビアが獲
得したと発表した。
 この作品は、遺伝子操作によって98%が人間、2%を鳥と
して誕生した6人の子供たちを巡るもので、彼らは空を飛ぶ
能力を得て彼らを生み出した研究所を脱出。狼の遺伝子を持
つ追跡者を躱しながら逃亡を続けている…というもの。すで
に4巻が出版されていずれもベストセラーとなり、来年5巻
目が発行予定となっている。
 そしてその映画化を、『Gガール』などのドン・ペイネの
脚色により、大ヒット作『アイアンマン』の製作総指揮を務
めたアヴィ&アリ・アラド父子と、父子と共にシーサイド・
エンターテインメントを主宰するスティーヴン・ポールの製
作で行うものだ。
 因に、以前はマーヴェルの一員として『スパイダーマン』
などの映画製作に関ってきたアラド父子だが、今回の計画で
は、「ど派手なコスチュームに身を包んだアメコミ・ヒーロ
ーとは一線を画した、オリジナルなスーパーヒーローを生み
出したい」と抱負を語っているようだ。なお映画化では、ア
ラド父子とポールが製作を務め、原作者のパタースンは製作
総指揮の肩書きを得ることになっている。
 またアラド父子とポールは、すでに『ゴーストライダー』
の製作を手掛けているが、今回の計画は彼らの第3作となる
予定のものだそうで、その前に、日本アニメ『攻殻機動隊』
の3D実写版リメイクの計画が進められるそうだ。従って、
本作の製作はドリームワークスで進められるリメイクの後に
なるもので、さらにその後には、前々回第163回で紹介した
カプコンゲームの映画化“Lost Planet”が、『X−メン』
などのデイヴィッド・ハイターの脚本によりワーナーで予定
されているものだ。
        *         *
 製作ニュースの最後は、ブラジルを舞台にしたアクション
映画の話題で、“Lobo”と題された狼人間を題材とする3部
作映画の計画が紹介されている。
 この計画は、『ペネロピ』や『コレラの時代の愛』などを
製作したストーン・ヴィレッジが進めているもので、ディク
ラン・オーネキアンとライアン・コルチという2人の執筆に
よるオリジナル脚本を映画化するもの。監督には、最近デビ
ュー作を撮り終えたばかりという新人エンザ・サンズの起用
が発表されている。
 物語は、1人の男性が母親から写真の同封された手紙を受
け取り、自分のルーツを探るためにアマゾン奥地の人里離れ
た生地の村に向かうところから始まる。そこで彼は、自分が
狼人間の血を引く者であることを知り、さらに自分の為すべ
きことに目覚めて行く。そして狼人間たちを守るための戦い
に加わって行くが…というもの。
 この脚本に対して監督のサンズは、「モンスター映画とい
うより、セルジオ・レオーネのマカロニウェスタンのような

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08月15日(金)
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