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On the Production
by 井口健二
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■ラブファイト、フロンティア、その土曜日7時58分、ビバ!監督人生!!、ファン・ジニ、LOOK、レッド・クリフ
ホラー作品“Vampire Clan”に出演のスペンサー・レッドフ
ォード、2000年リーアム・ニースン主演“Gun Shy”に出演
のベン・ウェバーらが演じている。
全編監視カメラの映像ということでは、2004年10月に紹介し
た『三人三色』の中のポン・ジュノ監督による『インフルエ
ンザ』が見事な作品として印象に残るものだ。そのときにも
書いたが、長編映画にはなかなか難しい手法で、その難しさ
をリフキン監督は、複数の物語が並行して進む形式とするこ
とで解消している。
しかも、それらの物語が微妙に接近したり離れたりというと
ころが、いろいろ面白くも描かれているものだ。
映画の巻頭では、監視カメラに関わるかなり厳しい現実が説
明されるが、本編の物語でもそれに呼応するように厳しい現
実が繰り広げられる。実は、リフキン監督の名前から僕は、
お気楽なコメディを予想していたのだが、アメリカの現実は
そんなに生易しいものではなかった。
特に、いくつかの物語が解決もないままに終わってしまうと
ころには、恐怖すら感じてしまうもので、リフキン監督の狙
いもそこにあるのかと感じさせるものだ。
アメリカ国内に3000万代以上設置されているという監視カメ
ラが、一体何の役に立っているのか、そんな現実の恐ろしさ
も描いた作品と言えるものだ。
『レッド・クリフ』“赤壁”
中国の古典『三国志演義』の中から周瑜、諸葛孔明らによる
「赤壁の戦い」を、『M:i−2』などのジョン・ウー監督
が映像化した作品。ただし本作はその前編で、実際の赤壁の
戦いとなる後編は来年正月に公開予定とされている。
同じ題材からは、1989年にも北京電影製作片廠での映画化が
あるが、今回は水戦シーンを『パイレーツ・オブ・カリビア
ン』も手掛けたハリウッドのオーファネイジが担当して、総
勢2000隻と言われる軍船の隊列を見事に映像化している。
と言っても、それが本格的に見られるのは後編になってから
だが、前編の中でも、孔明の奇略と言われた九官八卦の陣な
どもCGIによって見事に再現され、文章で読むだけではな
い迫力で観ることができるものだ。
時は西暦208年、中国は後漢の時代。丞相・曹操は荊州征伐
のため数十万の兵士を従えて南下を始める。対する劉備は、
領民と共に南方への逃亡を図るが、進軍速度が上がらず、曹
操軍に追いつかれてしまう。
そこは趙雲、張飛らの活躍で逃れた劉備軍だったが、このま
までは命運は尽きると判断。そこで劉備の軍師・諸葛孔明は
孫権軍との同盟を進言、自ら孫権のもとを訪れて周瑜らを説
得する。こうして、劉備・孫権の両軍は赤壁で曹操軍と対峙
することとなる。
この周瑜をトニー・レオン、孔明を金城武、曹操を『覇王別
姫』のチャン・フォンイー、孫権を『ブレス』のチャン・チ
ェン。さらに周瑜の妻・小喬を台湾のスーパーモデルで映画
初出演のリン・チーリン、孫権の義妹・尚香をヴィッキー・
チャオ、趙雲をフー・ジェン、甘興に中村獅童らが扮する。
この他にも登場人物の人数はかなり多いが、物語はよく整理
されて2時間25分の上映時間の中に見事に納められている。
もっとも物語はまだ半分だが…この人物紹介が済んだ後で繰
り広げられる「赤壁の戦い」がさらに楽しみになった。
なお、今回の試写会は中国でのオリジナル版に日本語字幕で
行われたが、11月1日からの日本公開では、巻頭に人物相関
図などが付けられてさらに判りやすくされるそうだ。
08月03日(日)
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