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On the Production
by 井口健二
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■第163回
シリーズの前2作では、ニュージーランド政府の税法上の
優遇処置や、VFXや特殊な小道具を製作するウェタ・ディ
ジタル、ウェタ・ワークショップが同国に所在することもあ
って、映画の撮影も主にニュージーランドで行われていた。
しかし前作『カスピアン王子の角笛』では、一部の撮影がポ
ーランド、スロヴェニア、チェコでも行われて、スタジオ撮
影にはプラハの撮影所も使用された。
そして今回は、物語の舞台が大洋になるとのことで、さら
に大きなサウンドステージや、水中撮影用のタンクが必要と
され、撮影をメキシコのロザリントと、バッハ・スタジオで
行うとされているものだ。ただし、一部のロケ撮影はオース
トラリアでも行われることになっている。
因にバッハ・スタジオは、ジェームズ・キャメロン監督が
『タイタニック』の製作のため新規に建設したスタジオで、
その後は『マスター・アンド・コマンダー』などの撮影にも
使用されるなど、海洋物のメッカとも言える感じのスタジオ
だった。しかし最近、主要な出資者だったフォックスが出資
の取り止めを発表、その存続に赤信号が点りかけていた。そ
こに今回の発表ということで、スタジオの存続にも明るいも
のが見えてきそうだ。
マイクル・アプテッドが新たに監督を務める第3作の撮影
は、来年1月に開始の予定になっている。
* *
もう1本のシリーズは、『スーパーマン』の計画で、昨年
の10月以来ストップしている“Superman: Man of Steel”の
製作準備にちょっと新たな局面が出てきているようだ。
その情報が出てきたのは、アンジェリーナ・ジョリー、ジ
ェームズ・マカヴォイ、モーガン・フリーマン共演で映画化
されたアメコミ“Wanted”の原作者としても知られるマーク
・ミラーの発言で、彼がアメリカ人のアクション映画監督か
らのアプローチを受け、新規なアイデアを提供したとのこと
だ。因に、“Superman: Man of Steel”の監督には、現在も
ブライアン・シンガーの契約が生きているものだが、シンガ
ーはニューヨークの出身だから、「アメリカ人のアクション
映画監督」ということに問題はない。
ただしマーク・ミラーは、“Wanted”の他に“Fantastic
Four”や“Avengers”、それに“Spider-Man”など主にマー
ヴェルで活躍している人材で、それがDCの作品に関るとい
うのが、多少引っ掛かるところにはなっている。しかしミラ
ー自身が、『スーパーマン』のファンであることは以前から
広言されていたことのようで、その噂を聞きつけての監督か
らのアプローチだったとのこと。これには監督側が形振り構
わぬという感じにも観えるが、これでうまく行けば万歳とい
うところだろう。
マーク・ミラーのアイデアで映画化が進むかどうか、結論
はクリスマスごろまでに明らかになるようだ。
* *
シリーズの次はリメイクで、1984年にジョン・ミリウスが
監督した“Red Dawn”(若き勇者たち)のリメイクがMGM
で計画されている。
このオリジナルについては、2004年1月1日付第54回でも
紹介しているが、突然ソ連の侵攻の始まったアメリカ大陸を
舞台に、その侵攻を逃れて山岳地帯に立て籠った高校生の一
団が、いろいろな作戦を立てて反攻を繰り広げて行くという
お話。ミリウスの原案から、後に『ウォーターワールド』な
どを監督するケヴィン・レイノルズが脚本を執筆していた。
その物語がリメイクされるものだが、今回は、ジェレミー
・パスモアという人が書いたストーリーから、『ディスター
ビア』のカール・エルスワースが脚本の執筆を契約。また、
監督には、『スパイダーマン3』や『ボーン・アルティメイ
タム』、それに11月7日に全米公開されている007の新作
“Quantum of Solace”などで第2班監督や、スタントコー
ディネーターなどを務めるダン・ブラッドレーの起用が発表
されている。
それにしても、原題のRedとは共産主義を指していたもの
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07月15日(火)
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