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On the Production
by 井口健二
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■真木栗の穴、アメリカばんざい、ダークナイト、ボーダータウン、マルタのやさしい刺繍、ハンコック、ブロードウェイ♪…、ブタがいた教室
しまう。さらには、ちょっと指先で払い除けただけの物が、
その飛んだ先でいろいろなものを破壊する。
でもライフルはおろか、もっと大型の銃器の弾丸も平気で跳
ね返してしまう。だから犯罪者にも容赦なく立ち向かって犯
罪抑止の効果は認められているが、警察を始めとする公の組
織には煙たがられ、さらに一般民衆からも敬遠の声が挙がり
始めている。
そんなスーパーヒーローが、とあるPRコンサルタントの絶
体絶命の危機を救ったことから彼の一家との交流が始まり、
彼の指示にしたがって人々の信頼を取り戻すための作戦が開
始されるが…
以前にスティーヴン・キングの『ファイア・スターター』を
読んでいて、道理の判っていない幼児の超能力者という発想
に唸ったことがある。この作品もそれに近いものがあって、
自分の力の使い方もよく判っていない超能力者が、その力を
如何に使うかを学んで行く物語だ。
元々は2002年に“Tonight,He Comes”という題名でスタート
した企画で、当初は少年と堕落したスーパーヒーローの繋が
りを描くとされたものだったが、紆余曲折を経て今回の物語
になったようだ。
でもまあ、上映時間は1時間32分で、すっきりとした分り易
い作品に仕上がっていることは確かだろう。特に子供との関
わりがそれなりに描かれているのは、最初からの企画が生き
ているのだろうし、その他の部分もよく考えて練られた脚本
と言える。
ビルや山が崩れるなどのド派手なシーンは少ないが、多分現
実に起きたらこんなのだろうなと思わせる現実味のある「有
り得ない」シーンが見事に展開されている。その分のカタル
シスは少ないかもしれないが、人間性は豊かな作品だ。
共演は、シャーリーズ・セロン、ジェイスン・ベイトマン、
ジェイ・ヘッド。監督はザ・ロック主演『ランダウン』など
のピーター・バーグ。また、VFXデザインを『スター・ウ
ォーズ』のジョン・ダイクストラが手掛けている。
『ブロードウェイ♪ブロードウェイ』
“Every Little Step”
1975年に初演されたミュージカル『コーラスライン』の製作
に向けマイクル・ベネットが行ったインタヴューの録音と、
2005年の再演に向けたオーディションの記録を中心に描かれ
たドキュメンタリー。
元々このミュージカルは、ダンサーたちへのインタヴューに
基づいて製作されたものと言われており、そのインタヴュー
の録音が今回公開されているのは貴重なものだ。その中には
ベネットの赤裸々な発言なども含まれている。
一方、再演のオーディションでは、コニー役として沖縄出身
の高良結香が選ばれており、実は試写後に彼女が登壇してア
カペラでの歌の披露とミニインタヴューも行われた。因に、
今回の再演の振り付けは初演でコニーを演じたバイヨーク・
リーが担当したものだ。
基本的には、バックステージ物のミュージカルのさらにバッ
クステージを描いた作品ということになるが、本作の場合は
最初のバックステージがそのまま舞台に反映されているもの
で、その部分でもいろいろと興味深いものがあった。
特にバイヨーク・リーは、元々がベネットの学校時代からの
仲間であり、最も深くミュージカルにも関わった人として、
その最初のインタヴューの発言から舞台に至るまでの流れも
興味を引かれるものだった。
そして再演のオーディションでは、コニー役を巡って高良と
ライヴァルとなったエレーンとの友情や、その他のコンペテ
ィターたちの闘いの様子なども描かれるが、全体的には修羅
場を描くよりも、それを暖かく迎えようとするスタッフたち
の姿が描かれている。
中でも、マイクル・ベネット本人が反映されたとも言えるポ
ール役の選考のシーンは圧倒的な迫力で描かれ、それは感動
的なものだった。また、主役でもあるキャシーのオーディシ
ョンには、やはりそれ相応の人が応募しているなど、その辺
にもこのミュージカルの厚みを感じたところだ。
なお映画では、再演のオーディションが進むのに並行して、
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07月13日(日)
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