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On the Production
by 井口健二
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■今日という日が最後なら、カスピアン王子、イントゥ・ザ・ワイルド、落下の王国、スピード・レーサー、8½、帰らない日々、BUG
が顔を揃えているもので、特にサランドンが見事に母親役を
演じているのも楽しめる。
その他には、韓国スターのピ(レイン)や、日本から真田広
之、『シャフト』のリチャード・ランドトゥリーらも参戦し
ている。
海外興行はちょっと厳しいスタートになったようだが、この
面白さには尋常でないものを感る。特に、50インチでも足り
ない大画面の迫力を堪能させてくれることは間違いなし、こ
れを劇場で観なかったら、きっと後で後悔することになる…
という作品だ。
『8½』“Otto e mezzo”
フェデリコ・フェリーニ監督による1963年作品。初期のネオ
レアレスモと呼ばれた作風から、幻想的な作風へと進んで行
く転機の作品とも言われている。その作品が、ディジタルリ
マスターによりクリーンな画像となって再公開される。
物語は、マルチェロ・マストロヤンニが扮するフェリーニ自
身とされる映画監督を主人公に、新作の製作準備を進める神
経症的な状況の中で、過去や現在に関った女性たちの幻想や
現実に悩まされる…というもの。
これに、クラウディア・カルディナーレ、アヌク・エーメ、
サンドラ・ミーロ、バーバラ・スティール、ロッセラ・ファ
ルクらの女優が花を添える。特に、巫女役で登場のカルディ
ナーレの美しさが楽しめた。
実は、本作で主人公が準備している新作が、宇宙ロケットも
出てくるSFとなっており、その確認もしたくて再公開を楽
しみにしていたが、そのお話は地球規模の災害が迫って、地
球を脱出するというものだったようだ。映画の中にはセット
として建てられた発射台の風景や、ミニチュア、コンセプト
アートのようなものも登場していた。
この他、子供時代の思い出のシーンなども登場して、全体的
にはフェリーニの自伝的要素も観られる作品ということだ。
ただしこの後にSF映画は撮ってくれなかったが。
なお、本作の物語は近年ブロードウェイでミュージカル化さ
れて、そのミュージカル版が『シカゴ』などのロブ・マーシ
ャル監督で映画化の予定になっている。
その主人公役には、当初は今年のアカデミー賞で助演男優賞
を獲得したハヴィエル・バルデムが予定されていたが、脚本
家ストライキの影響による撮影開始の遅れでスケジュールが
不調になり降板が発表された。
これに対して最近の情報では、その代役を今年のアカデミー
賞で主演男優賞に輝いたダニエル・デイ・ルイスが交渉され
ているとのことで、これも期待が高まるところだ。
なお共演の女優陣には、ペネロペ・クルス、マリオン・コテ
ィアール、ソフィア・ローレン、ニコール・キッドマン、ジ
ュディ・ディンチが発表されているものだ。
『帰らない日々』“Reservation Road”
交通事故で最愛の息子を亡くした一家が送る日々を描いた作
品。最近日本映画でもよく似た設定の作品があったが、本作
では、実はかなり特別なシチュエーションではあっても、現
実的な綺麗事ではない物語が展開される。
主人公の一家は、息子が晴れの演奏会で立派な演奏を見せた
後、自動車で帰宅中に道路沿いのサーヴィスステーションに
立ち寄る。ところがそこで息子がひき逃げに遭ってしまう。
しかもそこに至るいろいろな経緯があり、それが家族を苦し
めて行くことになる。
一方、ひき逃げをしたのはその町の法律事務所に勤める弁護
士。その日は離婚した妻と暮らしている息子との週に1回の
面会日で野球観戦に行き、試合が長引いたために急いで妻の
家に向かっている途中だった。
こうして被害者と加害者になってしまった2人だが、被害者
の父親が警察の捜査の遅さに業を煮やして法律事務所に調査
を依頼したことから話がややこしくなる。その担当者に、ひ
き逃げした加害者の弁護士が選ばれたのだ。
というちょっと特殊なシチュエーションだが、物語は、その
中での被害者、加害者の葛藤が描いて行くことになる。また
そこには、捜査を行う警察の実態なども垣間見られたり、ひ
き逃げという重大犯罪にも、刑罰が軽微であるなどの社会的
な問題も描かれる。
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05月18日(日)
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