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On the Production
by 井口健二
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■セルラー・シンドローム、バカバカンス、敵こそ我が友、キング・ナレスワン、ミー・マイセルフ、ST3、シチズン・ドッグ、ダイブ!
の映画によるとやはり迫害は受けているようで、結局そんな
ものかなあというのが率直な感想だ。
これなら他の国でもいい話だったし、ここにタイ映画らしさ
があれば申し分なかったが、現実はそういうものでもないら
しい。逆に言えばそれだけ一般的な物語になっている訳では
あるが、その辺は難しいところだ。
なお、主人公の女性がイヴェントの企画会社に勤めていると
いう設定で、映画にはそのイヴェントのシーンも登場する。
これもなかなか面白かった。

『スターシップ・トゥルーパーズ3』
           “Starship Troopers 3: Marauder”
ロバート・A・ハインライン原作『宇宙の戦士』の映画化第
3弾。映画化第1作は1997年の製作、第2作は2003年に製作
されており、今回は2008年作品。ほぼ5年置きにシリーズが
作られていることになる。
監督は、第1作が『ロボコップ』などのポール・ヴァーホー
ヴェン。第2作は『スター・ウォーズ』にも参加していたス
トップモーション・アニメーターのフィル・ティペット。そ
して、本作では第1作から一貫して脚本を担当してきたエド
・ニューマイヤーが初監督している。
因に、ヴァーホーヴェンは、第2作以降のクレジット上では
直接の製作者ではないが、第2作では“Special Thanks”と
記載されているし、今回もニューマイヤーは助言を求めるな
ど、映画の製作にはかなり深く関っているようだ。
一方、ニューマイヤーは全作に関っているものだが、第2作
は彼自身にフラストレーションが残る作品だったそうで、本
作は満を持して自らの監督で実現したものだ。さらに本作で
は、第1作に主演したキャスパー・ヴァン=ダインも主演に
返り咲いている。
物語は、軍事政権となって全体主義的な色も見える地球連邦
と、昆虫から進化したバグズとの戦いを描いているが、特に
今回は地球連邦政府の全体主義的な色合いがかなり戯画化し
て描かれており、この辺に脚本家=監督の意図も見えるよう
だ。
そして本作では、ついに原作で有名なあれが登場する。実際
のところ、『宇宙の戦士』の日本での評価は、これに関する
部分が大きいはずだが、前2作の映画化では何故か登場して
いなかった。
この点に関してニューマイヤーは、「第1作のときにも登場
させるべきだったが、当時の技術では製作費が膨大に掛かる
ことが予想され踏み切れなかった。それが今ではCGIの進
化で、低予算でも容易に実現できるようになった」とのこと
だ。
従って、物語はようやくここから出発となる訳で、また5年
後とは言わず続編を期待したくなるものだ。
ヴァン=ダイン以外の出演者では、テレビシリーズの『エン
タープライズ』でバルカン人女性副司令役を演じていたジョ
リーン・ブラロックらが共演している。
なお、配給会社では本作に『ST3』という略称を使わせた
いようだが、“Star Trek”と紛らわしくなりそうだ。

『シチズン・ドッグ』“หมานคร”
5月31日に開催されるタイ式シネマ・パラダイスの1本とし
て上映される作品。
2001年11月18日付で紹介した『快盗ブラック・タイガー』の
ウィシット・サーサナティアン監督による2004年作品。実は
2005年の東京国際映画祭でも上映されたが、その時は時間の
都合で観ることができなかった。
物語の背景は現代だが、監督の前作と同じくかなりシュール
レアリスティックな雰囲気の作品で、実際バンコックの町中
にペットボトルを積み上げた巨大な山が出来上がっていると
いうような風景が登場する。
そんな作品の主人公は、田舎からやってきた青年。彼は最初
は単純労働者として缶詰工場で働き始めるが、かなり奇想天
外な展開で友人ができたり、不思議な雰囲気を持つ少女と巡
り会って付き合い始めたりする。
その物語の背景には、上記のペットボトルによる環境破壊な
どの問題意識はあるが、それも本筋とは着かず離れずで、全
体的にはファンタスティックなラヴストーリーが展開される
ものだ。

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04月27日(日)
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