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On the Production
by 井口健二
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■第156回
思えば夢のような会見だった。そして続編の質問も出たが、
ラファエラが「それは興行成績次第」と言っていたのが、そ
のまま消滅してしまった訳だ。
 今回はそのリメイクとなるもので、ピーター・バーグ版の
公開予定は一応2010年となっている。ただしバーグ監督には
2005年8月1日付第92回で紹介したロバート・E・ハワード
原作“Bran Mak Morn”をユニヴァーサルで映画化する計画
もまだ生きているようで、その公開も2010年と予告されてい
る。どちらもその後のシリーズ化も期待される作品で、どち
らが先に実現するか楽しみなことだ。
        *         *
 フランス人のグラフィック・ノヴェル作家アレクシス・ノ
ラントの原作による“Cyclops”の映像化の権利をワーナー
が獲得し、『ウォーク・ザ・ライン』などのジェームズ・マ
ンゴールド監督で映画化する計画が発表されている。
 物語は、近未来の戦場を舞台にしたもので、ヘルメットに
1つ眼のサイクロプスのようなカメラを装着し、その映像を
作戦本部とお茶の間にも送り届けるようにされた兵士が、実
はその闘いが、正義や自由のためのものではないことを明ら
かにして行くというもの。その映画化を目指すマンゴールド
監督からは、原作について、「最高のSFとアクションが、
予見的なテーマの中で一体化した素晴らしい作品」とするコ
メントが紹介されていた。
 また、『コップランド』以降のマンゴールド作品の製作を
務めるキャシー・コンラッドは、「ワーナーが早急に動くこ
とを期待していて、すでに脚本家の絞り込みも行っている。
近日中にその人たちにオファーを掛けることになるだろう」
と話しており、正にマンゴールドの次回作という感じで進む
ことになりそうだ。因にワーナーでは、来年夏の公開予定が
完全には埋まっていないという情報もあり、今回の作品には
その辺の狙いもありそうだ。
 一方、原作者のノラントに関しては、3月1日付第154回
で触れたデヴィッド・フィンチャー監督“The Killer”が、
彼のグラフィック・ノヴェル“Le Tueur”を映画化するもの
となっている。こちらの作品はブラッド・ピットのプランB
が計画を進めているもので、突然良心に目覚めた一流の暗殺
者を主人公にした物語。時代や舞台背景は違っても、1本筋
の通ったテーマを追求している作家のようだ。
        *         *
 ヴァージン・コミックスがハリウッドスターの原案による
オリジナルシリーズを発行していることは、昨年8月1日付
第140回などで紹介しているが、新たにその作家にヒュー・
ジャックマンが参加することが発表された。
 作品は“Nowhere Man”と題されているもので、人々が安
全を得るためにプライヴァシーを放棄してしまった未来社会
を背景に、その考えに反対して『アイ・アム・レジェンド』
のように孤独に生きる主人公を描いているとのこと。それ以
上の詳細は明らかにされていないが、創作はジャックマンと
『CSI:マイアミ』なども手掛けるテレビ脚本家のマーク
・グッゲンハイムとの共同で進められたということだ。
 因に、グッゲンハイムはテレビ脚本の他に、ジャックマン
の主演で映画化されている“Wolverine”のマーヴル・コミ
ックス版の原作や、同じくマーヴル版の“Blade”の原作、
さらにDCコミックス版の“Flash”の原作なども手掛けて
いるそうだ。
 それにしても“Nowhere Man”のアイデアは見事なものだ
が、ジャックマン自身は「『X−メン』のお陰でグラフィッ
ク・ノヴェルに興味を持つようになり、自分でもっとそれに
関りたいという希望も持つようになった。今回はヴァージン
とマークと共にキャラクターと物語を完成できたことに興奮
しているが、さらにこれを映画化することも希望している」
と抱負を語っているものだ。
 なお“Nowhere Man”は、ヴァージン・コミックスのヴォ
イセズというシリーズの中で刊行されるもので、ここでは、
ニコラス・ケイジが息子ウェストンと共に創作した“Voodoo

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04月01日(火)
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