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On the Production
by 井口健二
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■春よこい、カスピアン王子(特)、ラスベガスをぶっつぶせ、闇の子供たち、長い長い殺人、リボルバー、ブルー・ブルー・ブルー
き切る、実はそんな映画的な工夫がこの作品には不足してい
るように感じられた。
原作者や、恐らく原作の読者には満足の行く作品であること
は確かと思うが…

『リボルバー』“Revolver”
イギリスの異才ガイ・リッチー監督による2005年作品だが、
アメリカ公開も昨年12月に漸く行われたようだ。それくらい
の問題作と呼べる作品。
物語は、ジェイソン・ステイサム演じる主人公が刑務所から
釈放され、レイ・リオッタが扮する昔の貸しのあるカジノの
オーナーと対決して行くというものだが、主人公は医者から
余命を宣告されてもおり、そこからいろいろなストーリーが
展開して行くことになる。
物語は多分に哲学的であり、また実は…という展開もある。
しかもその展開は複雑に入り組んでいて、1回観ただけでは
ストーリーを把握することも難しい。実際、僕はまだ1回し
か観ていないから、その把握もちゃんとはできていないと思
われる。
でもまあ、映画の全体はリッチー監督お得意のイギリスの裏
社会もので、ファンにはその雰囲気だけでも充分に楽しめる
ところではある。これで物語がちゃんと把握できたら言うこ
となしだが、ヒントには気付いてもそれを確認できなかった
ところも多々あったものだ。
それ以外にも、細かい仕掛けもいろいろ仕組まれた作品で、
それらを全部確認するのにも、あと数回は観る必要がありそ
うだ。
まさしく「いやはや」と言いたくなるような作品だが、この
映画の場合は、それだけの深い部分も備えて作られており、
決して監督の名前に騙されて観ていると言うようなものでは
ない。その監督が構築した迷宮を存分に楽しめる作品とも言
えそうだ。
なお、映画にはエンドクレジットが無く、エンディングでは
数分に渡ってピアノ曲の演奏と黒い画面だけが上映される。
これには、監督が哲学的な意味を持たせたという解釈もある
ようだが、その意図も明らかにされているものではない。
僕は、昔の映画館のように、この間は客席の灯を点けてカー
テンも下げてしまって良いようにも感じたが、監督からの具
体的な指示はされてはいないようだ。また、映画は最初にも
短い黒画面があって、映画の全体がその画面に括られている
ようにも観える。それをどう解釈するか…
因に、本編の上映時間は115分だが、昨年スカンジナヴィア
で発売になったDVDでは、ディレクターズ・カットと称し
て101分のものがリリースされたそうだ。

『ブルー・ブルー・ブルー』“Newcastle”
オーストラリア東部の港湾都市ニューカッスルを舞台に、プ
ロサーファーを目指す若者たちの姿を描いた青春ドラマ。
主人公は、プロサーファーを目指す若者。港湾労働者の父と
母親、そしてゲイの弟と共に暮らしているが、実は彼には地
域のチャンピオンに輝き将来を属望されながら挫折した腹違
いの兄がいた。
そんな主人公だったが、地区の予選大会では気負いから発し
た強引なライディングが禍して代表の座から落ちてしまう。
その彼を励まそうと、仲間達は少し離れたビーチへの旅行を
計画するが、そこには弟も付いてきてしまった。
そしてビーチでは、憧れの彼女との一夜も過ごした主人公だ
ったが、翌日、絶好の波の立つ中でサーフィンを始めた彼ら
の前に、兄たちのグループが現れる。こうして高い目標を目
指す主人公と、地域、親子、そして兄弟との絆を描く物語が
展開する。
同様の作品では、2002年の『ブルー・クラッシュ』が記憶さ
れるが、女性サーファーの闘いだった2002年作に対して今回
は男性。スポーツもので女性の後を男性が追うというのも珍
しいが、そこにはいろいろ技術的な問題もありそうだ。
実際、本作の出演者たちにはそこそこサーフィンもできるメ
ムバーが選ばれているようだが、それでも劇中描かれる華麗
なサーフィンテクニックは、プロのサーファーたちによって
演じられている。
そのプロサーファーの演技に、CGIの合成が施されるのは
『ブルー・クラッシュ』と同じだが、今回の主人公たちの体

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03月30日(日)
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