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On the Production
by 井口健二
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■P2、パーク・アンド…、西の魔女が…、ノー・カントリー、幻影師…、悲しみの乾くまで、センター・オブ・ジ・アース(特)、88ミニッツ
『悲しみの乾くまで』“Things We Lost in the Fire”
昨年9月に紹介した『ある愛の風景』などのスサンネ・ビア
監督のハリウッド進出作品。
ベネチオ・デル=トロとハリー・ベリーの共演で、銃社会の
アメリカでまったく無辜の夫がその犠牲になった一家と、そ
の夫が唯一の親友だった男性を描くドラマ。
デイヴィッド・ドゥカヴニーが扮するその夫は、子供の頃に
は知恵遅れかと疑われるほどに実直だった男。彼は住宅デザ
イナーとして素晴らしい才能を発揮し、ベリー扮する妻と、
幼い2人の子供と共に幸せな暮らしを送っていた。
ところがある日のこと、家族に頼まれた買い物に出た夫は、
道端で女性に暴力を振るう男を止めに行き、男に銃撃されて
帰らぬ人となってしまう。その葬儀は気丈に進める妻だった
が、やがて夫が支援していたデル=トロ扮する男性の存在を
思い出す。
その男性は以前は優秀な弁護士だったが、麻薬に溺れて、世
間からも疎まれるような存在となっていた。しかし実直な夫
は、そんな彼を支援し続けていたのだ。そんな男性にとって
も夫の死は世間とのつながりを失ってしまうものだった。
そして、夫を失って生活に穴の空いたようになった妻は、夫
の親友だった男性を家に引き取ることにするが…
日本公開はPG-12の指定となっているが、一般的に考えられ
るような描写のある作品ではない。これは飽く迄も銃の表現
に関わるものと考えられる。
もちろん、一つ屋根の下に男女が暮らすのだから、そこには
身悶えするような感情も存在するが、それを女性のビア監督
が見事な演出で表現して行く。
特に、その感情の変化が手に取るように描かれて行くのは、
監督と2人の出演者の見事なパフォーマンスの勝利とも言え
るものだ。そしてそこに描かれる大人の男女の関係が、この
映画のテーマを深く掘り下げる。
製作情報を追っていたときには、fireの文字から「火事」が
テーマになるのかと思っていたが、アメリカでfireというの
は「銃撃」が先になるようだ。そんな銃社会を背景とした作
品で、その恐ろしさも見事に描かれていた。
共演は、アリソン・ローマン(ホワイト・オランダー)、オ
マーベンソン・ミラー(シャル・ウイ・ダンス?)、ジョン
・キャロル・リンチ(ゾディアック)など。見事な共演陣が
物語を支えている。
『センター・オブ・ジ・アース3D』(特別映像)
ジュール・ヴェルヌ原作『地底旅行』の3D映画化が、アメ
リカは7月、日本でも8月に公開予定されており、その冒頭
20分の特別映像が披露された。
まだ全体は観ていないが、物語は現代化されているようだ。
しかし、主人公とその息子が火山に設置された地震計の回収
に行くなどの前振り部分を除けば、地下に潜ってからの冒険
は原作とあまり変わらないことが予想されるものだ。その冒
険が今回は3Dで描かれる。
上映されたのは、その地下世界に入り口に到達するまでの部
分だったが、そこまでにも、『インディ・ジョーンズ/魔宮
の伝説』を髣髴とさせるトロッコの暴走など、3Dの魅力を
最大限に発揮する映像が次々に登場した。
しかも、その映像のほとんどがCGIだからその立体感もク
リアだし、その一方で火山を登るシーンなどの実写で写され
た3Dの素晴らしさも堪能できる物だった。
出演者は、『ハムナプトラ』シリーズのブレンダン・フレイ
ザーと、『テラビシアにかける橋』のジョッシュ・ハッチャ
ースン、それにアイスランド出身の新進女優アニタ・ブライ
ム。フレイザーの主演では当然コメディタッチの作品ではあ
るが、アクションアドヴェンチャーの要素もタップリの作品
になりそうだ。
なお今回の上映は、舞浜イクスピアリにあるReal-Dの劇場で
行われたが、8月の公開ではDolby-3Dと、ニューライン社が
この作品のために新開発した35mmフィルム用の3Dシステム
も採用して、日本全国400館規模での3D上映が目指される
そうだ。
因に、新開発のシステムはカラーフィルタを用いるアナグリ
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03月09日(日)
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