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On the Production
by 井口健二
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■第149回
因に、ハリウッドの劇映画の撮影がこの場所で行われるのは
初めてのことだそうで、映画絡みの展示物もいろいろあるは
ずの場所で、その辺の扱いも面白そうだ。
また今回は、その他の2009年のフォックス作品の公開予定
も紹介され、それによるとスピンオフシリーズ第1弾の“X-
Men Origins: Wolverine”が5月1日、第3作でディジタル
3D公開となる“Ice Age 3”は7月1日とされている。
なお、“Avatar 3-D”の公開が最初に予定されていた5月
22日は、実はドリームワークスアニメーションが3D作品の
“Monsters vs.Aliens”の公開を当初5月15日に計画してい
たのと時期が重なり、まだ充分ではない3D上映館をどう分
けるかでも話題になっていた。そして、先にドリームワーク
ス側が3月27日への公開日の変更を発表していたものだが、
今回のフォックスの発表では、ドリームワークスが公開日の
変更を元に戻すのか、その動向も気になるところだ。
* *
リメイクの話題で、オリヴァ・ストーン監督の『アレキサ
ンダー』などを手掛けた製作者のトーマス・シュエリーが、
『T2』のマリオ・カサールと組んで、1927年のフリッツ・
ラング監督作品“Metropolis”のリメイク権を獲得したこと
が発表された。
オリジナルは、製作時から100年後の2026年の世界を予測
したもので、その世界では人々は支配階級と労働階級に2分
され、支配階級は高層ビルで優雅に暮らし、労働階級は地下
深くで、生涯逃れられない過酷な労働を強いられているとい
うもの。その労働階級に反乱の動きが見え始め、支配階級は
それを攪乱するために、労働者たちのシンボルでもあった女
教師マリアに似せたロボットを製作して、地下世界へと送り
込むが…というお話だ。
そしてこのオリジナルは、2001年にユネスコによって制定
された世界遺産の映画部門の第1号に選ばれるなど、極めて
高い評価を受けているものだが、さてその作品をリメイクす
るというのは、どのような思想で行われることになるか、そ
の仕上がりが楽しみだ。
因に、オリジナルは1927年のドイツでプレミア上映された
時には、上映時間が210分あったとされるが、その作品が同
年アメリカで上映されたときには114分に再編集されていた
など、その時々の状況で再編集が行われ、一時はオリジナル
フィルムの4分の1が失われたともされていた。しかしその
後にフィルムの発見などもあって、現存する最長版は2001年
にドイツでディジタルリストアされた147分版のようだ。こ
れでも、当時ドイツで一般公開されたときの153分より短い
ものだが、このような努力が繰り返されるほど大事にされた
作品であるとも言える。
なお、製作者のシュエリーは、1922年のF・W・ムルナウ
作品を、1978年にヴェルナー・ヘルツォークがリメイクした
『ノスフェラトゥ』にも絡んでいたということで、そのやり
方は心得ていそうだ。またこの製作者は、1986年の『薔薇の
名前』や、1988年テリー・ギリアム監督の『バロン』なども
手掛けており、手腕は期待できるものだ。
監督や脚本家なども未定だが、オリジナルは都市の景観や
セットなどの美術面でも当時を抜きんでた描写がされていた
作品で、これらをどのように現代の映画に再現するかも期待
される。
* *
11月15日付の第147回で紹介したテリー・ギリアム監督の
新作“The Imaginarium of Doctor Parnassus”の撮影が、
12月中旬にロンドンで開始されている。
物語は、前々回に紹介した通り、人々を想像の世界に導く
魔法の鏡を持つDoctor Parnassusと、彼の旅芸人一座を巡る
お話とのことだが、前回報告した出演者の中でトム・ウェイ
ツが演じているのは、賭けでParnassusに鏡を奪われる悪魔
の役だそうだ。
そしてこの作品は、ギリアムにとっては、1985年『未来世
紀ブラジル』以来の完全オリジナル脚本の映画化となるもの
で、監督自身が「これは自伝みたいなものだ」とも言ってい
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12月15日(土)
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