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On the Production
by 井口健二
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■シルク、ボビーZ、パルス、ダーウィン・アワード、ゼロ時間の謎、フローズン・タイム、中国の植物学者の娘たち
表となっており、これは何かの事情があるものと思われる。
この辺についても正確な情報が欲しかった。
『フローズン・タイム』“Cashback”
時間を止める能力を身に付けた美学生を巡る物語。
「時間よ止まれ!」と叫んで時間を止めたのは、古くは手塚
治虫原作の『不思議な少年』、最近では『ヒーローズ』のヒ
ロ・ナカムラというところだが、その能力をR−15指定の映
画で発揮してしまったら、これはちょっとヤバイことになり
そうだ。
そんな期待(?)も半分で観に行ってしまった試写会だった
が、実際の作品は、確かに時間を止めて女性を裸にしたりは
するが、これはあくまでも主人公が美学生として女体をスケ
ッチするために行う理由があるもので、それ自体は猥褻感も
なく問題はないように思えた。
ただし、その他にかなり際どいシーンがあって、R−15指定
はそのせいかとも思われるが、それはここではちょっと説明
できないくらいのものだ。といっても決して猥褻というもの
ではないのだが…
物語全体は、ロマンティックコメディの部類に属する作品。
恋人と別れて以来不眠症となった主人公が、時間の有効利用
と称して24時間営業のスーパーマーケットの深夜シフトに入
る。そこには若もの文化の吹き溜りのような連中が集ってい
た。
しかし、主人公の不眠症は解消されず。ついには時間を止め
る能力を身に付けてしまう。そしてその時間の止まった世界
で、1人の女性と出会う。
元は短編で製作された作品がアカデミー賞短編賞の候補にな
り、そこから長編に拡大された作品ということだが、空想癖
の主人公が過ごす退屈な9時間の深夜シフトを18分で描いた
されるオリジナルの短編はそのまま使用されているそうで、
そこに前後を撮り足したという構成のようだ。
その追加のシーンは、主に深夜シフトの連中の生態を描いて
いているが、これがショートギャグの羅列のような感じで、
しかも下ネタ中心のかなり青い感じのもの。これには観てい
て呆れるというか、微笑ましくも感じてしまった。
脚本監督のショーン・エリスは1970年生まれということで、
そこそこの年齢の人のようだが、それでこの青さはちょっと
驚くところだ。でも、全体としてロマンティックな雰囲気を
打ち壊していないのは、それなりに計算して作られているの
だろう。
そして物語は見事にロマンティックな結末を迎えるもので、
その展開には思わず、「やられた」とつぶやいてしまった。
『ヒーローズ』のタイムフリーズのシーンは見事だが、この
作品も負けてはいない。
『中国の植物学者の娘たち』“植物园”
2002年に発表した『小さな中国のお針子』がカンヌ映画祭の
<ある視点>部門で上映され、ゴールデン・グローブ賞にも
ノミネートされたダイ・シージエ監督の新作。
前作は文化大革命の頃の中国を描いてタブーに挑戦したと言
われ、今回はこれも中国ではタブーとされる女性の同性愛を
描いている。ただし、監督自身はタブーに挑戦するという意
図はなく、どちらも純粋な愛情の物語を描いたとしているも
のだ。
しかし、前作は辛うじて中国国内での撮影が許可されたが、
今回はそれも許されず、撮影は主にヴェトナムで行われてい
る。その風景が実に美しくて魅了された。因に、中国とは同
じ体制のはずの同国で撮影が許可されたのは、内容が中国の
話なので、国家としては問題ないとされたのだそうだ。
その物語は、両親を災害で亡くして孤児院で育てられた女性
が、漢方を研究しているとある植物学者の許に実習生として
招かれる。その学者は、湖に浮かぶ離れ島に作られた巨大な
温室に併設された住居に娘と2人暮らしをしていた。
その場所に実習兼雑用係として招かれた女性だったが、学者
の暮らしは厳格で日々の生活もことごとく学者が定めたルー
ルに従っていた。そんな堅苦しい生活だったが、そこでの息
抜きは学者の娘との交流…そしてそれは許されない関係へと
発展して行った。
他の国でなら問題ないような話が、一部の国では映画にもで
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11月10日(土)
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