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On the Production
by 井口健二
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■第145回
っと恥ずかしいことになるかもしれない。
 また、監督にはMcGという情報も流れており、McG側もや
りたい意向は示しているようだが、McGにはここ何回か報告
しているように多数の企画が目白押しで、それを押し退けて
の参加には疑問視する声も多いようだ。ただし、実は今回の
新作のアメリカ国内配給権をワーナーが獲得したという情報
も入って来ていて、そうなると第141回でも紹介したように
ワーナーとの優先契約を結んでいるMcGとしてはやりやすい
ことになる。
 因に、ニック・スタールとクレア・デインズが出るのか出
ないのか、出演者もまだ発表されていないものだが、常識的
には監督を先に決めて、その監督が俳優を決めるのが順当な
流れとも言えるもので、まずは監督を早く決定してもらいた
いものだ。
        *         *
 さて、そのハルシオン社からは、新たにSF映画に関わる
計画が報告されている。
 報告されたのは、SF作家フィリップ・K・ディックの全
著作について、未だ映画化されていない全作品の映画化権を
一括して獲得したというもので、その独占の権利期間は3年
間とされている。
 ディックの著作には、45の長編と120以上の短編があると
いうことだが、この内で映画化されたのは、『ブレードラン
ナー』となった“Do Androids Dream of Electric Sheep?”
を含めた9作品。その中には、『トータル・リコール』(We
Can Remember It For You Wholesale)『マイノリティ・リ
ポート』『スキャナー・ダークリー』を含み、これら作品の
全世界での配給収入は合計10億ドルを超えるそうだ。
 その残る作品の映画化権が一括して契約されたものだが、
因に今回の契約は、1982年のディック死去以来、父親の権利
を守ってきた2人の娘が経営するElectric Shepherd(略称
ESP)が取り交わしたもので、このESP社では、『スキ
ャナー…』の製作に参加した他、第117回で紹介したディッ
クの伝記映画の製作にも関わっているようだ。
 ところで、1990年の『トータル・リコール』は、『T2』
を手掛けた旧カロルコが製作したもので、今回“Terminator
Salvation”の製作を進めるハルシオン社がディックの映画
化を進めるのも歴史の巡り合わせを感じてしまう。そしてそ
のハルシオン社では、多数のディック作品の中から、いくつ
かを選んで進めることになるが、その第1候補には1969年に
発表された長編の“Ubik”が考えられている。
 “Ubik”は、『ブレード…』『トータル…』と共に、ディ
ックが生前に映画化権を設定していた4本の内の1本で、当
時はフランスのプロデューサーが権利を持っていたが、結局
実現しなかった。内容は、巨大企業に支配された地球の未来
を描いており、因に題名は、一時期IT関連で話題になった
ユビキタスの基になった言葉ubiquityに由来している。その
点では、現代に映画化することにも意味を感じるものだ。
 なお、後の1本は“Second Variety”という作品がキャピ
トルと契約されており、『トータル…』と同じダン・オバノ
ンの脚本まで完成していたとされるが、実現していない。
 ということで、ディックの映画化に期待が持てそうだが、
実際の製作スタッフなどはまだ不明な訳で、どのような顔ぶ
れがそこに並ぶかにも注目が集まりそうだ。
        *         *
 前回は、ラッセル・マルケイ監督による“Zen in the Art
of Slaying Vampires”という作品を紹介したが、その後も
Vampireテーマの作品の計画が続々発表されている。
 まずは、ニューラインの製作で“Darksider”という作品
に、テレビで新スタートした“Bionic Woman”を手掛ける脚
本家プロデューサーのリータ・カーログリディスの参加が発
表されている。物語は、FBIの捜査官が吸血鬼一族と組ん
で、生物兵器の取り引きをしようとしている武器商人の逮捕
を目論むというもので、ニューラインでは2001年に権利を獲
得して以来、ジョナサン・ヘンスレイやデイヴィッド・ゴイ

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10月15日(月)
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