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On the Production
by 井口健二
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■未来予想図、ロンリーハート、僕のピアノコンチェルト、夜顔、僕がいない場所、めがね、インベージョン、Mayu
民宿にたどり着く。そこで大して迷わずに到着した彼女は、
「ここにいる才能がある」と言われてしまう。
そして、観光スポットも何もないその島の民宿を舞台に、人
生の休暇のような物語が開幕する。
小林が演じる後から来る女性は、映画の後半に現れる若い男
には「先生」と呼ばれていたりして、何か文化系の仕事をし
ているようだ。一方、先に現れるもたいが演じる年配の女性
は、映画の中でも全くの謎の人物とされている。
でもそんな人たちが、世間とのしがらみを断ち切って、ある
期間をその場所で過ごす。それが何だと言われると、もうそ
れには全く答えられなくなってしまうのだけれど、まあこん
な話があってもいいかなあという映画だ。
癒しというならその通りのものだし、多分去年の『かもめ食
堂』を楽しめた人なら、その感覚は今回も楽しめる。
僕自身がどちらがより好きかと聞かれれば、『かもめ食堂』
の方を挙げるが、本作の方が主人公の引き摺っている部分が
多いだけ、かえって親しみの湧く人もいるかも知れない。現
実を逃れられない人には、一服の清涼剤になる作品だろう。
他の共演者は、市川実日子、加瀬亮、光石研。それに薬師丸
ひろ子が出演している。
また、映画に登場する食事から、美術、編み物、体操までの
それぞれを、各分野で実績のある女性たちが担当しているの
も話題になりそうだ。

『インベージョン』“The Invasion”
ジャック・フィニーが1955年に発表したSF『盗まれた街』
(The Body Snatchers)の3度目の映画化。
前の2回(1956、78年)の映画化はいずれも“Invasion of
the Body Snatchers”の題名で行われたものだが、今回は、
そのBody Snatchersの部分が取れてしまった。実はその辺に
原作からの改変があるものだが、それを題名で表わしている
のは嬉しいところだ。
物語は、スペースシャトルが軌道上で何かに衝突し、さらに
地球再突入時にばらばらに砕け散り、その破片がダラスから
ワシントンDCまでの広範囲にばらまかれるところから始ま
る。その破片には、再突入時の超高温にも耐える謎の微生物
が付着していた。
ところが、その調査を進める政府機関の発表は要領を得ず。
さらに政府命令によるインフルエンザ対策と称する謎のワク
チンの接種が始まる。そして街には、無表情な人々が出現し
始める。彼らは争うことをせず、その内に国家間の長年の紛
争も終結し始める。
それは宇宙から飛来した微生物が人類に感染したことによる
結果だった。ところが人類の中に、それに免疫を持つものが
いることも判明する。そして微生物に感染した奴らは、免疫
を持つ人間を狩り始める。
主人公の女性は、DCで精神科医を開業していたが、離婚し
た夫が最初に異常を見せ始める。そして彼女の息子が免疫保
持者であることが判明する。一方、感染しても眠らなければ
微生物が活性しないことも判明し、彼女は感染した奴らと、
そして睡魔とも戦いながら、息子を保護して研究施設まで送
り届けなければならなくなる。
この主人公をニコール・キッドマン、彼女の現在の恋人で微
生物の研究者を007後の最初の作品となるダニエル・クレ
イグが演じる。後半はかなりのアクションシーンも登場し、
サスペンスに満ちた物語が展開する。
監督は、『es』や『ヒトラー〜最後の12日間〜』のオリ
ヴァー・シュピーゲル。前2作はドキュメンタリータッチが
かなり重苦しい感じまでしていたものだったが、元々がSF
の本作ではそのリアルさが生きて、かえってバランスが良く
なった感じもした。
結末は皮肉と甘さがちょっと物足りない感じもしたが、オリ
ジナル映画化へのオマージュなども適度に挿入されていて、
その辺は嬉しくも感じられた。

『Mayu−ココロの星−』
21歳で乳癌になった女性による実話の闘病記に基づく作品。
主人公は、母親が長年癌と闘病し、自分も健康診断は欠かさ
ず受けていたというが、まさか21歳の若さで乳癌にかかると
は思っていなかったそうだ。そんな希な病気という注釈はつ

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09月10日(月)
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