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On the Production
by 井口健二
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■第142回
2001年には歌手役を吹き替えなしで演じたこともあるとのこ
とで、歌唱には実績があるようだ。さらに『シカゴ』でオス
カー助演女優賞受賞のゼタ=ジョーンズは、すでに監督が歌
と踊りを認めているものだし、ローレンも歌って踊れること
は間違いない。
 なお配役は、コティヤールが監督の本妻でクルスが愛人。
また決定すれば、ローレンが母親で、ゼタ=ジョーンズは監
督が憧れているスター女優となる。以前の紹介では、まず配
役を決めてそれに合せて脚色を進めるとのことだったが、監
督の希望通りの配役の実現を期待したい。
 一方、その脚本には、2002年に公開された『チェンジング
・レーン』のマイケル・トーキンが発表され、そのユニーク
な起用にも注目が集まっている。因に映画化には、かなりセ
クシーなシーンも登場するようだ。
        *         *
 ワーナーが、1939年に製作されたMGM映画の名作“The
Wizard of Oz”(オズの魔法使い)のリメイクを計画してい
る。
 1919年に没した原作者L・フランク・ボウムによる小説の
著作権はすでに消滅している。一方、映画作品の著作権に関
しては、日本国内では先日の裁判で消滅の判決が出たものだ
が、同様の法律が先に成立しているアメリカでは、問題なく
1939年に製作されたMGM映画の著作権は存続している。
 また、MGMは現在ソニー傘下にあるが、2004年5月1日
付の第62回でも書いたような経緯で、1986年以前のMGM作
品の権利に関してはワーナーが所有している。そこで今回の
計画は、この1939年製作のMGM映画のリメイクとなってい
るものだ。
 ただし今回の計画では、1997年に映画化された“Spawn”
(スポーン)などの原作者トッド・マクファーレンが中心に
なって進めているもので、彼の作風からするとかなりダーク
な作品になりそうだ。
 同じ原作からの映画化では、1978年に製作されたミュージ
カル版の“The Wiz”(ウィズ)も、1985年にディズニーが
映画化した“Returen to Oz”(オズ)も、かなりダークな
ものだったが、さらにマクファーレンは、「ドロシーには、
『エイリアン』のリプリーに近いものがある」としてキャラ
クターの設定をしているようだ。そして作品は、PG-13にな
っても良いとしていた。
 それに対して、脚色を担当している『ヒストリー・オブ・
バイオレンス』などのジョッシュ・オルソスンは、1995年の
『セブン』的なダークさではなく、『ハリー・ポッター』の
ようなダークさを目指したいとしており、オルスン自身は、
レーティングPGを目指すとしている。詳しい内容について
は厳秘となっているが、リメイクと言うよりは続編に近いも
のになるとも発言しているようだ。
 いずれにしても、公開後70年間の映画の著作権も、2009年
には消滅するもので、今回の計画はそれ以前に実現しなけれ
ばいけないものだ。
        *         *
 すでに“Iron Man”と“The Incredible Hulk”の製作が
スタートしているマーヴル・スタジオで、新たに“Thor”と
いう作品を、『レイヤー・ケーキ』のマシュー・ヴォーンの
監督により、今冬製作開始するという発表が行われた。なお
この計画は、来年夏に予定されているハリウッド俳優組合の
ストライキ前の撮影完了を目指すものだ。
 映画化の詳しい内容は明らかにされていないが、原作のコ
ミックスは1962年にスタートしたもので、父親オーディンに
よって地球に派遣された主人公が、医学生ドナルド・ブレイ
クとして人類について学びながら、あるときはヒーローThor
となって人類の敵と戦うというもの。つまりは、マーヴル版
のスーパーマンという感じのもののようだ。そしてこの原作
から“I Am Legend”を手掛けたマーク・プロトセヴィッチ
がすでに脚色を済ませているとされる。
 なおヴォーンは、今秋公開される“Stardust”でファンタ
シー映画の監督を務めているものだが、スーパーヒーローも
のでは、実は“X-Men 3”のオファーを一旦受けたものの、

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09月01日(土)
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