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On the Production
by 井口健二
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■TAXiC、おやすみクマちゃん、酔いどれ詩人になる前に、北極のナヌー、エディット・ピアフ、ルーツ・タイム
7月23日。この日は1930年にエチオピア皇帝に即位したハイ
レ・セラシエ1世の生誕の日なのだそうだ。そこでその日を
期して、ラスタファリアンは全員アフリカの地を目指すべし
というアジテーションがラジオから流れている。
主人公の2人組は、乗用車に大きなスピーカをつけて、レゲ
エのレコードを売り歩く移動レコード販売業者。スピーカか
らは宣伝や呼び込みの音声も流れるが、実は運転席の2人の
会話も筒抜けになっている。その会話は、怪しげな法螺話な
ど種々雑多だ。
そんな2人が、売れないレコードに四苦八苦しているとき、
道端で1人の男が彼らを呼び止める。その男はさっきまでラ
ジオでアジテーションをやっていたDJ。彼のガールフレン
ドが急病で病院まで送って欲しいという。
ヒッチハイクは困るという2人だったが、本当に病気らしい
女性と男を載せて車は走り出す。そして2人は、ラスタファ
リアンなら合成薬を使う病院より、薬草医のところに行くべ
きだと主張し、人伝の情報を頼りにその薬草医の許を目指す
が…
出演者は全員が演技は素人だそうで、特に主人公の1人はそ
れまで映画を見たこともないという農夫だそうだ。また、他
もミュージシャンやDJが演じていて、主人公のもう1人を
演じているウールトン・ハリスンはレゲイ界では著名な人ら
しい。
ということで、映画の中は、会話もほとんどリズムに乗って
いて、その意味ではレゲイ=ラスタファリアンの文化を良く
伝えているもののようだ。
とは言っても所詮は素人の演技だし、監督もドラマの演出に
は馴れていないようで、映画の全体はもたもたしていて素人
映画の域は出ていない。でもまあ雰囲気は、多分現地の感覚
そのままなのだろうし、そういうことで楽しめればそれで良
いのだろう。
観る側の気分にも因るかも知れないが、少なくとも都会生活
に追われる人間には、一種の癒しの効果も生じるのではない
かという感じもした。まあそんな大らかな気持ちで観られれ
ばいい映画だろう。
ただ、僕が観た試写会では画面全体が妙に赤っぽくて、実は
巻頭で乗用車のエンジンルームを嘗めて撮ったシーンが、内
臓のようにも観えて狙った効果かとも思ったのだが、上映が
ヴィデオだったこともあり、この色調で正しいのかどうか、
ちょっと気になったものだ。
07月20日(金)
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