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On the Production
by 井口健二
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■リトル・チルドレン、ミス・ポター、レミーのおいしいレストラン、幸せの絆、フロストバイト、ウィッカーマン、遠くの空に消えた
はあるが、去年10月に紹介した『バタリアン5』も同じよう
な展開だったし、最近の風潮で思いつきやすいアイデアでは
あったようだ。
でもその後が、ヴァンパイアには伝統の咬みついて血をすす
るのではなく、食い千切って血をすすることになるもので、
正しい方法で伝えていないと、伝統も失われるという考えは
面白かった。
ただ、夜が30日も続くと言っていながら本作は1日だけの
話で、せっかくの設定は充分に活かされてはいない。これな
らアメリカの同旨の映画も安心というところだ。
動物と話せたり、顔が自由に変えられたり、運動能力が向上
したり、これで前髪で名刺交換ができて、嘘が見破れたら、
どこかの新聞のCMと同じだが、これは偶然だろうか。
なお、女医の娘役で1992年からの『ロッタちゃん』シリーズ
に、当時5歳で主演していたグレーテ・ハヴネショルドが成
長した姿を見せている。
また、エンディングロールの中でShino Kotaniという名前を
見つけた。どう見ても日系人のようだが、データベースで検
索すると、1990年代にアメリカとイギリスの映画でメイクア
ップを担当しており、その後、ノルウェーでも2本程仕事を
しているとあった。本人の経歴は判らないが、ここにも頑張
っている日系人がいるようだ。
『ウィッカーマン』“The Wicker Man”
1973年にクリストファー・リーの出演で映画化されたイギリ
ス作品のリメイク。
主人公は警官。ある日、元婚約者で事情も告げずに彼の元を
去った女性から、救援を求める手紙を受け取る。その手紙に
は、その女性は故郷の島に帰っていたが、そこで誕生した娘
が突然姿を消したと書かれていた。
主人公は、手紙を頼りにその島に向かうが、そこは個人所有
で外部者の立ち入りは禁止。それでも警察バッジを翳して上
陸した主人公は、島に漂う怪しげな雰囲気の中、元婚約者に
会う。そして彼女からは自分以外の島民の言葉を信じてはい
けないと忠告される。
こうして捜査を始めた主人公だったが、島民たちは娘などい
なかったと主張するばかり、ところがその主張に綻びが見え
始め、さらに島では生け贄の儀式が準備されていることが判
明する。果たして娘の安否は…
オリジナルの脚本は、これも現在リメイク中の『探偵<スル
ース>』で1971年のトニー賞を受賞したアンソニー・シェー
ファー。
『スルース』のオリジナルは1972年の製作。シェーファーは
その後にアガサ・クリスティの映画化を手掛けるなど、人気
脚本家と言われる存在だった。因にオリジナルのDVDは、
現在は“Anthony Shaffer's The Wicker Man”と題されて売
られているそうだ。
そんな人気脚本家のちょっと毛色の変った作品というところ
だが、オリジナルは、いわゆるカルト宗教を描いた先駆的な
作品としても注目を浴びたもので、その作品がカルト宗教が
横行する今の時代にリメイクされるというのも、それなりに
意味のあることなのだろう。
そしてそのリメイクは、主演のニコラス・ケイジが自ら主宰
するサターン・フィルムで製作したもので、脚本監督には、
『ベティ・サイズモア』などの鬼才ニール・ラビュートが起
用され、特に、脚本の現代化は巧みに行われたものだ。
いろいろとショッキングなシーンやシュールレアルなシーン
なども挿入されていて、その意味ではホラーの味わいも堪能
できるが、いずれにしても、マニアにはアピールする感じの
作りになっている。
エレン・バーンスティン、ケイト・ビーハン、モリー・パー
カー、リリー・ソビエスキーといった共演者の顔ぶれも、観
るとマニアにはなるほどと思わせるところだろう。
『遠くの空に消えた』
『世界の中心で、愛をさけぶ』『北の零年』『春の雪』の行
定勲監督が、『義経』の神木隆之介、『SAYURI』の大
後寿々花、『鉄人28号』のささの友間という人気子役3人を
主演に起用して、7年越しで温めてきたオリジナル脚本を映
画化した作品。
ちょっと昔のお話。空港建設に揺れる農村を舞台に、東京か
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06月30日(土)
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