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On the Production
by 井口健二
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■ジャンゴ(特)、オーシャンズ13、厨房で逢いましょう、クレージーストーン、傷だらけの男たち、Perfect Stranger、不死鳥の騎士団
ハリー・べリーとブルース・ウィリス共演のサスペンス。
べリーが演じるのは敏腕な女性事件記者ロウィーナ。今日も
政治家のスキャンダルをものにするが、その記事は上層部の
圧力によって握り潰され、その仕打ちに怒った彼女は職を辞
すことになる。
そんなとき、幼馴染みの女性が彼女にスクープを持ち込んで
くる。それはウィリス扮する大手宣伝会社社長ハリソン・ヒ
ルの不倫に関するものだった。そしてその幼馴染みが惨殺死
体で発見されたことから、物語は新たな局面を展開すること
になる。
匿名のチャットルームでの電子メール会話やセキュリティな
どITが絡む展開は、ニューヨークを舞台にして現代を象徴
するような物語を創り出す。一方、殺人にベラドンナが使わ
れたり、ロウィーナが身分を隠してヒルの会社に潜入、ヒル
に近づいて行くなど、古典的な展開も活用される。
しかもその展開では、主人公の恋人や協力者までもが、実は
裏切っているのではないかという疑念も生じさせて行く。人
は皆、隠したい秘密を持っており、その全てが明るみに出た
とき、事件は意外な真実を暴露する。
オリジナルの脚本はニューオリンズを舞台に描かれたものだ
ったようだが、ハリケーン災害の影響で舞台がニューヨーク
に移されたということだ。しかしこの舞台の変更は、現代人
の闇を描き出すには好適だったとも言える。
人々が自己を消して仮面で働き続ける大都会は、この物語に
最適な舞台だ。この舞台で、登場人物たちが何を隠し、隠そ
うとしているのか、その謎が一気に解かれる展開は、正に圧
倒される迫力で演出されていた。
監督は『摩天楼を夢見て』などのジェームズ・フォーリー、
脚本は『泥棒成金』のリメイクなども手掛けるトッド・コマ
ーニキ。
共演者では、ジョヴァンニ・リビシ、ゲーリー・ドーダン、
ダニエラ・ヴァン・グラス、ポーラ・ミランダ、ニッキー・
エイコックスらが一癖も二癖もあるキャラクターたちを演じ
ている。
なお、ヒルのオフィスのシーンは、グラウンドゼロに新築さ
れたビルで行われたもので、その景観は見事に映画にも写し
出されている。その他、最先端のレストランや、由緒あるグ
リニッジヴィレッジのバーなど、多彩なニューヨークの風景
も楽しめる。
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
“Harry Potter and the Order of the Phoenix”
人気シリーズの第5弾。いよいよ宿敵ヴォルデモートが正体
を現し、最後の戦いへの火蓋が切られる。
原作を読んだのはもう数年前になってしまう訳だが、前作の
『炎のゴブレット』の辺りから物語はどんどんダークになっ
ており、正直、本作の読んでいたときには、後半の対決の部
分が延々続いて、いい加減に主人公たちを開放してやろうよ
と思ったりもしたものだ。
そんな、読了にかなり苦労させられた原作の映画化だが、さ
すが映画ではそのような苦労は感じさせず、実にスピーディ
に物語が進んで行く。しかも見せ場はバランスよくたっぷり
と描かれており、見事な映画化と感じさせるものだった。
もちろん、あれだけ分厚い本だから、映画化ではかなり省略
されている部分も多いが、原作を読んでいる自分としてはそ
れなりに満足できたし、恐らく原作を読んでいなくても、物
語の流れは理解できるように作られていると思えた。
物語は、ハリーが夏休み中のロンドン郊外の町でデスイータ
ーに襲われ、止む負えず魔法で撃退するところから始まる。
しかしそれがマグルの目の前であったことから、未成年者の
魔法使用の罰により魔法省からはホグワーツ退校処分が出さ
れるのだが…魔法省で行われるその査問会は、一学生の処分
のためには大袈裟な、実に不可解な開催となる。
そして、その査問会を切っ掛けに魔法省は新たな教師をホグ
ワーツに派遣、ホグワーツは異常な体勢へと変貌して行く。
この事態に危機感を持ったハリーたちは密かにグループを結
成し、学校が禁止した魔法防御の術を独自に学習して行くこ
とにするのだが…
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06月20日(水)
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