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On the Production
by 井口健二
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■夕凪の街桜の国、明るい瞳、パンズ・ラビリンス、アーサーとミニモイの不思議な国、JUST FOR KICKS、リーピング、天然コケッコー
もミュージシャンらを中心に如何にしてコレクションが進め
られて行ったかが語られる。これには対象物は違うが、自分
も昔、古書店通いをしていた頃を思い出して、微笑ましくも
感じられた。
なお、コレクターの中には、『クリムゾン・リバー』や『ゴ
シカ』などの監督で、俳優でもあるマチュー・カソヴィッツ
が登場して自分のコレクションについて語るシーンもあり、
映画ファンの興味も引くものだ。
因に本作は、日本ではMTVシアター第1回作品として公開
されるもので、今後もMTVの目線でいろいろなカルチャー
を見た作品が登場することになるようだ。自分としては一番
疎い方向の目線から作品が作られることになりそうで、いろ
いろ見させてくれることを楽しみにしたい。
『リーピング』“The Reaping”
オスカー主演賞を2度受賞しているヒラリー・スワンク主演
によるオカルトスリラー。
主人公は元女性神父だったが、ある出来事で夫と幼い娘を亡
くし、以来、無神論者となって世界中の神の奇跡と称される
ものの真相を暴いているという人物。そして彼女は、今まで
調べた「奇跡」の中で科学的に説明のつかなかったものはな
いと言い切る。
ところがある日、大学で教鞭を執る彼女の前に1人の男が現
れる。彼はヘイヴンという町で起きている禍について語り、
それが1人の少女のせいだと疑われていて、このままでは少
女が生命が危険だと告げる。
この事態に、主人公は急遽調査に向かうことになるが…そこ
では、川が血の色に染まり、いま正に旧約聖書の「出エジプ
ト記」に描かれた10の奇跡が始まろうとしていた。そしてそ
れは、彼女が遭遇する初めての科学的な説明のつかないもの
だった。
ジョール・シルヴァとロバート・ゼメキスが設立したダーク
・キャッスルの作品。1999年の『タタリ』以来、ホラー専門
で製作を続けてきた同社だが、実は最近ゼメキスが少し距離
を置くことになり、今後はシルヴァが全権を掌握することに
なったようだ。
とは言え同社の、VFXなどにもたっぷりと製作費を掛け、
質の高いホラー作品を製作するというコンセプトは、今後も
踏襲してもらいたいものだ。
そして本作では、実は巻頭で、恐らく後追いで合成されたと
思われるVFXがずれて慌てるシーンはあったが、1956年の
セシル・B・デミル監督『十戒』でも描かれた10の奇跡は、
現代のVFXで見事に再現されていた。
一応、キリスト教の聖書をモティーフにした物語だが、その
状況は映画の中で丁寧に説明されるので、別段キリスト教徒
でなくても鑑賞に支障はない。中には、聖書に書かれた「奇
跡」に対する科学的な論破などもあって、ここまでやっても
いいのかと、ちょっと心配にもなったものだ。
脚本は、先にダーク・キャッスル作品『蝋人形の館』も手掛
けたケイリー・W&チャド・ヘイズ、監督は『24』のファ
ーストシーズンなどを手掛けたスティーヴン・ホプキンス。
また、奇跡を起こすと言われる少女役には、『チャーリーと
チョコレート工場』でいつもガムを噛んでいたヴァイオレッ
ト役のアナソフィア・ロブが扮して、ガラリと違う役柄を見
事に演じて見せてくれる。
『天然コケッコー』
くらもちふさこ原作コミックスの映画化。
物語の舞台は、小中学校併設でも全校生徒が6人しかいない
田舎の分校。主人公は、そこで最年長の中学2年の女子。生
徒は他に、中1女子が2人と、主人公の弟の小6と、さらに
幼い女子が2人。その分校に、東京から中2の男子が転校し
てくる。
そんな都会の匂いをぷんぷんさせた同い年の男子を迎えた主
人公の思春期の心の葛藤が、明るい田園風景と、田舎の人間
関係を交えて、あるときはユーモラスにあるときは清々しく
ゆったりと描かれる。
僕は原作のことは何も知らないが、映画を見ていて、成程こ
の内容なら現代の女性には、ある種の憧れのような感じにな
るのかなあ、と思えた作品だ。取り立てて何か事件が起こる
訳でもないし、日常のことが、でも何か心に残るような物語
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04月30日(月)
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