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On the Production
by 井口健二
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■第132回
リゾート地の湖に大量に放流されてしまうというもの。ジョ
ーズの強大な鮫に比べると小さなピラニアだが、集団で襲う
恐怖は抜群で、さらに1950年代のSF映画などを下敷きにし
たギャグも満載。これを見たスピルバーグが、ダンテを当時
製作中だった『トワイライトゾーン』のエピソード監督に抜
擢したという作品だ。
 また1981年には、1984年に『ターミネーター』を発表する
ジェームズ・キャメロンの監督デビュー作となる続編『フラ
イング・キラー』も製作された。
 と言う今回はオリジナルをリメイクするものだが、起用の
決まったアジャは、「僕はこの種のクリーチャーフィルムの
全てに恋している」と、心境を語っていたそうだ。アジャで
パロディというのはちょっと気になるが、オリジナルはその
スタイルで評価されたということで、スタイリッシュさでは
アジャも負けないものを持っており、その点は期待ができそ
うだ。製作は、『300』を手掛けたマーク・カントン主宰
のアトモスフィアが担当する。
 なお、アジャの今後のスケジュールでは、第129回で紹介
したドナルド・サザーランド主演による“Mirrors”の撮影
が5月1日開始の予定だが、本作のリメイクはそれより後の
計画となるものだ。またアジャを含めた、最近のホラー映画
の作家たちには、Splat Packersというグループ名称が付け
られているようだ。
        *         *
 ここからは新規の情報を紹介しよう。
 まずは、『ターミネーター3』のジョナサン・モストウ監
督と、その脚本を手掛けたジョン・ブランカトー、マイクル
・フェリスのトリオが、“The Surrogates”と題されたSF
スリラーの計画をディズニーで進めることが発表された。
 この作品は、ロバート・ヴェンディッティ作、ブレット・
ウェルデール絵によってトップ・シェルフ・コミックスから
発行されているグラフィックノヴェルを映画化するもので、
物語では、人類は家に引き籠もり、人間関係はロボットが代
行しているという未来社会が描かれている。
 この原作についてブランカトーは、「フィリップ・K・デ
ィック的な未来を描いているが、すでにインターネットでは
よく似た状況が出現しており、テーマは現代にも通用する」
としているものだ。なお脚本家の2人は、現在はロバート・
ラドラム原作の“Sigma Protocol”の脚色を進めており、そ
れが済み次第、本作に取り掛かるようだ。
 ただしモストウは、以前に第79回などで紹介したユニヴァ
ーサルの製作によるマーヴルコミックス“Sub-Mariner”の
映画化の計画にも関っており、現時点ではどちらが先になる
か、定かではないようだ。
        *         *
 次は、この夏『トランスフォーマー』が公開されるマイク
ル・ベイ監督と、同作の脚本を手掛けたアレックス・カーツ
マン、ロベルト・オーチのトリオが、“2012: The War for
Souls”というSF作品の計画をワーナーで進めることが発
表された。
 進められている計画は、ワイトリー・ストリーバーという
ベストセラー作家の同名の小説を映画化するもので、この原
作はまだ出版されていないもののようだ。物語は、学術調査
隊の研究者が、並行宇宙に繋がる出入り口を開けてしまうと
いうもの。そして、古代マヤによって予言された2012年に到
来する終末を阻止するため、主人公には並行世界の分身との
接触が求められるというものだそうだ。
 なお、原作者のストリーバーについては、2005年9月の第
94回でも紹介しているが、ローランド・エメリヒが監督した
“The Day After Tomorrow”の基礎になったという作品でも
知られており、また、現在は“The Grays”という作品が、
ケン・ノーランの脚色でソニーで映画化が進められている。
 また、カーツマン、オーチの脚本家コンビは、JJ・エイ
ブラムスの監督でこの秋からの撮影が予定されている“Star
Trek XI”の脚本も手掛けているものだ。
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04月01日(日)
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