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On the Production
by 井口健二
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■第131回
それによると、物語の設定として、登場する地球は汚染が
進み、人類は地上に住むことをあきらめ、全ての生物は軌道
上に漂う巨大宇宙船の中で暮らしている。そして、地球が再
び住めるようになる日を待っているということだ。
一方、その地球の汚染を取り除くため、膨大な数のロボッ
トが地球に降ろされたが、Waste Allocation Load Lifter--
Earth Classと名付けられたそのロボットたちは、時間と共
に徐々に機能を停止し、物語の開始時点では唯1台のロボッ
トが機能しているだけという状況になっている。
そして、最後のロボットWall-Eは、今日もスポットと名付
けたペットのゴキブリと共に、プログラムされた任務を遂行
しようとしているが…となるようだ。
このロボットの知能がどのくらいあるのかは判らないが、
プログラムされた任務を遂行するためだけに、毎日を繰り返
しているというのは、ちょっとサラリーマンの生活を思わせ
て、切なくもなるところだ。
また、以前の紹介で背景が火星というのは実は地球だった
ようだが、宇宙の彼方にある家族の住む家が軌道上の宇宙船
というのは案外近くていろいろな関わりも生じそうだ。しか
もここからの展開は、人類の関り方次第でどうにでも発展す
るわけで、ドラマティックな物語が楽しめそうな設定だ。
CGIアニメーションによるロボット物ではすでに公開さ
れた作品もあるが、さすがにピクサーはちょっと違った作品
を見せてくれることになりそうだ。
なお、ピクサーの公開予定では、今年“Ratatouille”、
来年に“WALL-E”、そして2009年には“Toy Story 3”と発
表されていたが、この内の“Toy Story 3”が2010年に延期
されるという発表が行われたようだ。それはまあ製作の都合
で仕方がないが、それで2009年のスケジュールが空くのは問
題で、そこに何が公開されるか発表が待たれている。
因に、2008年公開の“WALL-E”も発表は今年になってから
だったから、それほど急ぐようことのようには見えないが、
実はピクサーがロボット物をやるという情報はかなり前から
流されており、それなりの準備はあったということで、現在
そのような情報があるのかどうか、気になるところだ。
* *
続いては、ヨーロッパ発の情報を短く2本紹介する。
まずはマドリッドに本拠を置くイリオン・アニメーション
という会社が、製作費5000万ドルを投じて“Planet One”と
いうCGI作品の製作を発表した。
この作品は、『シュレック』シリーズを手掛ける脚本家の
ジョー・スティルマンが執筆した脚本を映画化するもので、
内容は、2本の触覚と8本の指を持った住人の暮らすプラネ
ット・ワンという惑星に対する異星人の侵略を描いている。
その惑星は、ちょうど1950年代のアメリカの郊外のような世
界で、ドライヴイン劇場があったり、根強い異星人の侵略に
対する恐怖心があったりもするが…というものだ。
そして監督には、スペインのパイロ・スタジオというとこ
ろから発表されている“Commandos”というヴィデオゲーム
シリーズで、制作のチーフを務めるジョージ・ブランコとい
う人が起用されることになった。因にイリオンは、パイロ・
スタジオの映画製作部門ということだ。
『シュレック』の脚本家ということでは、相当にパロディ
色の強い作品になりそうだが、1950年代の侵略SFもいろい
ろあるから、これは面白い作品になりそうだ。なお、パイロ
・スタジオでは“Planet One”のゲーム化も並行して進めて
いるそうだ。
ヨーロッパ発もう1本は、イギリスのダニー・ボイル監督
の計画で、アフリカ大陸1高い建物といわれる南アフリカ・
ヨハネスブルグに立つ54階建てのポンテ・タワーを舞台にし
たスリラー作品、その名も“Ponte Tower”という作品が進
められている。
このポンテ・タワーは、1975年の建設当時は、アパルトヘ
イト下での裕福な白人社会のシンボルとも呼ばれ、「地上の
天国」との異名まで冠されたというものだが、その後は荒廃
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03月15日(木)
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