ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460329hit]
■スパイダーマン3(特)、きみにしか聞…、こわれゆく世…、心配しないで、逃げろ!いつか戻れ、待つ女、ストーン…、CALL ME ELISABETH
物語はもちろんフィクションということだが、こんな物語を
想起するような現実もあるということなのだろう。7年の刑
期というのがどのような罪によるものかは不明だが、報道な
どで聞くと短くも感じてしまうものかも知れない。しかし現
実の7年というのは決して短いものではない。
そんな中で、お互いの心が徐々に歪んでしまうのも、有り得
ない話とは言えないものだ。そんな男女の心理を巧みに描い
た作品といえる。
出演は、妻役にヴァレリー・ドンゼッリ、夫役には『情痴ア
ヴァンチュール』にも出ているブリュノ・トデスキーニ、そ
して看守役にシリル・トロレイ。なお監督は、シリルを起用
するために看守の役柄を大幅に書き替えたそうだ。
なおこの作品は、2006年9月のヴェネチアとトロント映画祭
で上映されているが、一般公開はフランスでも2月21日に封
切られたばかりの作品ということだ。
『ストーン・カウンシル』“Le Concile de Pierre”
それぞれ映画化された『クリムゾン・リバー』『エンパイア
・オブ・ザ・ウルフ』の原作者として知られるジャン=クリ
ストフ・グランジェが2000年に発表した作品の映画化。
先に映画化された2作は共に男性が主人公だったが、本作の
主人公は女性、その主人公にモニカ・ベルッチが扮し、共演
はカトリーヌ・ドヌーヴ。しかも、物語はヨーロッパを遠く
離れてシベリアのイルクーツクで始まる。
その町の孤児院に1人の女性が訪ねてきて、モンゴル人の男
の子の赤ん坊を里子として引き取って行く。そして数年が経
って、舞台はパリ。フランス語とロシア語の通訳をしている
女性のもとで、少年は7歳の誕生日を迎えようとしていた。
その誕生日を数日後に控えたある日、少年の胸の上部に不思
議なマークが現れる。そして2人は同じ悪夢に悩まされるよ
うになる。それは森の中で何かに襲われるというものだった
が…医者に相談しても、そのマークも悪夢も心配ないと言わ
れてしまう。
ところがその診察の後、医者はどこかに電話を掛けている。
そして、その少年の存在を巡って国際的な秘密結社の暗躍が
始まっていた。
同じ原作者の前の2本の映画化も、宗教やオカルトなどがい
ろいろ関ってくるものだったが、本作ではさらにモンゴルの
伝説と、旧ソ連の秘密研究というもので、そのアイデアは結
構面白く感じられたものだ。
しかも、物語のキーとなるイルクーツクのシーンには、多分
現地にロケ撮影も行われたようで、その異国情緒というか、
ちょっと不思議な雰囲気が映画の展開に活かされていた。
脚色監督のギョーム・ニクルーは、日本での紹介は初めての
ようだが、フィルム・ノアール、特にジャン=ピエール・メ
ルビルなどのジャンル映画の大ファンということで、その雰
囲気をよく伝える見事な演出を見せている。
また、監督を支えるスタッフとして、クローネンバーグ作品
の撮影監督ピーター・サシツキーや、ポランスキー映画の音
響を手掛けるジャン=マリー・ブロンデルなどが参加。幻想
的なグランジュ・ワールドを見事に描き出していた。
さらにベルッチは、2004年に長女を出産した後の本作では、
子供を思う母親の姿を迫真の演技で表現しており、ほとんど
ノーメイクでの登場は、過去の作品で見せた妖艶さとは全く
違って、最初は別人かと思うほどだった。
『CALL ME ELISABETH』
“Je m'appelle Elisabeth”
少女の成長を描いたドラマ。
主人公のベティは10歳。父親が院長を務める精神病院に隣接
する屋敷で、姉と両親と共に暮らしていた。ところが、姉妹
というより親友同士だった姉のアニエスが寄宿学校に行って
しまい、母親も父親と仲違いして家を出てしまう。
楽しかった生活が一転して暗いものに。しかも新学期の始ま
った学校では、親しくしようとした転校生から思わぬいじめ
を受け、また、近くの野犬収容所で処分を待っている一頭の
犬を引き取ろうとするが、父親に反対される。
そんな周囲の裏切りを受け続けたある日、ベティは通学用の
[5]続きを読む
03月10日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る