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On the Production
by 井口健二
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■バベル、蟲師、さくらん、ママの遺したラヴソング、しゃべれども しゃべれども、主人公は僕だった、パフューム
他の出演者は、女性役で香里奈、解説者役で松重豊、主人公
の祖母役で八千草薫など。
公開は初夏、ほうずき市の頃にもう一度見てみたい作品だ。

『主人公は僕だった』“Stranger Than Fiction”
ハリー・ベリー主演の『チョコレート』や、ジョニー・デッ
プ主演の『ネバーランド』を手掛けてきたマーク・フォース
ター監督が、『プロデューサーズ』での怪演が記憶に新しい
ウィル・フェレルを主演に迎えて発表したちょっとファンタ
スティックな人間ドラマ。
主人公のハロルド・クリックは、国税局の調査官。数字や計
算には強いが、何でも数えてしまう性癖があり、1人暮らし
で同僚の友人はいるが恋人はなし、過去12年間、平日には毎
日を全く同じ行動の繰り返しで生活していた。
ところがある朝、いつもと同じ32本の歯を計76回みがき始め
たとき、彼の頭の中に女性の声が聞こえ始める。その声は、
彼の行動や考えていることをナレーションのように語り続け
る。そしてある切っ掛けから、その声が作家のもので、自分
が執筆中の小説の主人公であることに気が付くが…
一方、同じ町の別の一角では、1人の女流作家が10年ぶりに
執筆中の小説を完成させようとしていた。しかし最後に主人
公を死亡させる方法が決まらず、執筆は行き詰まっていた。
彼女の書く小説では、最後に主人公が死ぬのが決まりだった
のだ。
作家とその作品の登場人物とが交流するという展開は、SF
ファンには平井和正の『超革中』など目新しいものではない
が、この作品では、そこにさらに文学部の教授を配して謎解
きをさせるなど、うまく捻った展開に作り上げている。
脚本のザック・ヘルムは、長編は本作が処女作ということだ
が、この作品でナショナル・ボード・オブ・レビューの脚本
賞にも輝いたものだ。
フェレルの演技は、『エルフ』『奥様は魔女』などでもその
怪演ぶりは見事なものだが、本作ではその怪演を押さえて、
心に染みるような見事な演技を見せてくれる。監督の作品歴
からはそれも当然だが、そこにフェレルを填めてきたところ
も見所と言えそうだ。
共演者は、マギー・ギレンホール、ダスティン・ホフマン、
クィーン・ラティファ。そして作家役にエマ・トムプスン。
ホフマンの怪しげな教授ぶりも見事だが、互いに恋すること
に無器用なフェレルとギレンホールが、恋に落ちる瞬間は、
恋愛ドラマとしても出色のシーンだった。

『パフューム』“Perfume: The Story of a Murderer”
1985年に出版されたドイツで、15週連続で1位を記録したと
いうベストセラー小説の映画化。
時代は18世紀。類希なる嗅覚を持って生まれた1人の男が、
禁断の香水を作ろうとする。それは女体の発する香りを留め
た物。その香水を作り出すため、男は女体そのものから香料
を取り出す狂気の方法を編み出す。
いやはや何とも恐ろしい物語というか、映像的にはかなり卑
わいな描写もあるし、内容的にも不道徳な物語ではあるが、
もちろん虚構の物語を、ここまで丁寧に克明に描き出される
と、正しく映画を堪能したという気分にさせてくれる。
原作は、ベストセラーになった後、スピルバーグやスコセッ
シがその映画化権を競い合ったそうだが、原作者のパトリッ
ク・ジュースキントは、頑としてそれを受け付けなかったの
だそうだ。
しかし、『薔薇の名前』などのドイツ人プロデューサー=ベ
ルント・アイヒンガーがその獲得に乗り出し、2000年に映画
化権を設定。『ラン・ローラ・ラン』のトム・ティクヴァを
脚本監督に起用して、原作発表から21年を経て映画化が完成
されたものだ。
なお脚色には、アイヒンガーとティクヴァ監督に加えて『薔
薇の名前』を手掛けたアンドリュー・バーキンが参加。2年
間を費やして脚色されたものだ。しかも原作はドイツ語で、
物語の舞台はフランスとイタリアという作品だが、脚本は英
語で執筆されている。
出演は、主人公に今まであまり大きな役はないようだが『レ
イヤー・ケーキ』や、2005年の『ブライアン・ジョーンズ』

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01月31日(水)
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