ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460333hit]

■マリー・アントワネット、Life、ユメ十夜、神童、情痴、オール・ザ・キングスメン
州知事の実話を基に、3度のピュリッツァー賞に輝く詩人の
ロバート・ベン・ウォーレンが1946年に発表した長編小説の
映画化。
主人公のウィリー・スタークは、田舎町の出納係だったが、
学校の校舎建築に係る不正を追求して職を追われる。しかし
その校舎が手抜き工事で崩壊し、3人の子供が亡くなったこ
とから注目を浴びるようになる。
そんな彼に、州知事選への出馬の働きかけがあり、理想主義
者の彼はそれに応諾するが、実はそれは別の思惑の絡むもの
だった。ところがその事実を知った彼は、選挙の作法を無視
した民衆に直接語りかける作戦を展開、地滑り的な勝利を納
めてしまう。
こうして州のトップの座に付いたスタークだったが、議会に
も味方のいない彼の政策は、ことごとく議会の反対に遭い、
それでも強権を発動し続ける彼に対して、ついに弾劾の動議
が出されるが…
この物語が、彼の側近として行動した1人のジャーナリスト
の目を通して語られて行く。
スタークの基本的な政策は、州の経済を支える電力会社と石
油会社の利益を民間に還元させること。実際この2社は、州
を流れる川の水力と、州の地下に埋蔵された資源を元手に稼
いでいるのだから、それは州の財産だと言うのはごく当たり
前の話に聞こえる。
しかしそこには、利権に絡んで腐敗し切った州の役人や政治
家たちが巣くっている。そんな彼らに鉄槌を下し続けるのだ
から、こんなに胸の透く話はない。だから、彼のちょっとし
た過ちが大きく取り沙汰されてしまうのも成り行きというと
ころだ。
だがそれにも敢然と立ち向かって行くのだから、それも胸の
透く話だ。
今回のリメイクの企画は、クリントンの大統領選挙を率いた
ことでも知られる政治コンサルタントのジェームズ・カーヴ
ィルが長年温めてきた。彼は、「この企画の話をすると、誰
もが『今ほどピッタリな時代はない』と賛同してくれる。で
もこの物語はいつの時代にも当てはまるものだ」と、映画製
作の意図を語っている。
確かに、ここに描かれる政治と金の話は、今の日本にも、い
やいつの時代の日本の政治にも当てはまるものだ。つまり時
代と国を違えても、所詮は同じ政治の話ということだ。ただ
し日本には、この主人公のように胸の透くような行動をする
理想主義者の政治家はいないということだけだろう。
主演は、ショーン・ペンとジュード・ロウ。ブッシュ政権の
批判を続けるペンには、まさに当たり役というところだ。ま
たロウも、良い家柄に育ちながら彼の人柄に惚れ込み行動を
共にするジャーナリストを好演している。
他には、ケイト・ウィンスレット、ジェームズ・ガンドルフ
ィーニ、マーク・ラファロ、パトリシア・クラークソン、そ
してアンソニー・ホプキンス。
また、州知事のボディガード役で、1976年の『がんばれ!ベ
アーズ』でテイタム・オニールに対抗する不良少年ケリーを
演じ、続編の2作にも主演したジャッキー・アール・ヘイリ
ーが、ハリウッドを離れてから20年以上を経て再登場してい
る。
        *         *
以上で、2006年度分の映画紹介を終わります。実はニュー・
シネマ・ワークショップの皆さんの作品と、東京国際映画祭
の「アジアの風」部門のまとめがまだ出来ていませんが、こ
れらもできるできるだけ早く載せるように努力していますの
で、今しばらくお待ちください。
ということで、今年の僕のベスト10は以下のようになりまし
た。なお、対象は一応2006年中に公開された洋画作品で区切
っております。また、例年通りSFと一般映画とを分けて選
んでいますが、正直に言って、今年はピンと来る作品があま
りなくて、選ぶのにかなり苦労しました。

一般映画
1.カジノ・ロワイヤル
2.トンマッコルへようこそ
3.カポーティ
4.ローズ・イン・タイドランド
5.POTCデッド・マンズ・チェスト
6.メルキダス・エストラーダの三度の埋葬
7.ナルニア国物語/ライオンと魔女
8.スーパーマン・リターンズ
9.クラッシュ

[5]続きを読む

12月29日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る